肝臓疾患に有効な血圧薬の最新研究
肝線維症(Fibrosis)
肝臓の特化した筋線維芽細胞(myofibroblast)が過剰に増殖し、過剰な結合組織が蓄積して瘢痕(線維)を形成します。これが肝臓の機能障害につながります。
肝硬変(Cirrhosis)
肝臓が繰り返し損傷を受けると、正常な肝組織が瘢痕組織に置き換わり、血流が阻害されます。結果として、感染防御、血液中の細菌除去、栄養・ホルモン・薬物代謝、血液凝固因子合成などが低下します。健康な肝臓は胆汁を産生し、脂肪・コレステロール・ビタミンの代謝を助けます。
末期肝硬変(Advanced Cirrhosis)
肝硬変が進行すると、薬剤や毒素の除去機能が失われ、血中に毒素が蓄積します。これが脳に影響し、意識障害・記憶障害・集中力低下・睡眠障害などの肝性脳症を引き起こします。
ベータブロッカーによる門脈圧低下
門脈圧が高まると食道静脈の破裂による消化管出血リスクが増大します。ベータブロッカーや硝酸薬は静脈圧を下げ、出血予防に有効です。出血が起きた場合は内視鏡でのバンド結紮が行われますが、再出血防止に薬物療法が重要です。
アンジオテンシンII受容体拮抗薬 Losartan の効果
イギリス・ニューカッスル大学の研究では、C型肝炎患者14名に Losartan を投与し、7名で肝線維が減少し再生が確認されました。Losartan はアンジオテンシンII の作用を阻害し、瘢痕形成を抑制することで肝臓の再生を促します。
転写因子 NF-κB と Losartan の関係
研究者は NF-κB が筋線維芽細胞の活性化とコラーゲン産生を促し、瘢痕形成を進めることを明らかにしました。Losartan は一部の患者で NF-κB 活性を低下させ、筋線維芽細胞の死滅を誘導します。生検で NF-κB のレベルを測定すれば、薬剤の効果が期待できる患者を特定できます。
専門家の見解
アンジオテンシンII と IκB キナーゼは自然免疫系のサイトカインです。Losartan(商品名 Cozaar)は ACE 阻害薬として知られますが、IκB キナーゼを阻害し NF-κB 活性を抑えることで、肝線維症治療に新たな可能性を示しています。
