肺のpHレベルと健康維持
呼吸は、肺や呼吸器疾患を持たない人にとっては当たり前の行為ですが、体内の代謝バランスや全組織への酸素供給に欠かせない重要な役割を果たしています。吸う・吐くだけで体内の化学状態を安定させるのです。
正常なpH範囲
pHは溶液の酸性・アルカリ性を示す指標で、0〜14の範囲で表されます。7が中性で、7未満は酸性、7以上はアルカリ性です。人体は血液のpHを7.35〜7.45というややアルカリ性の範囲に保つように働きます。この狭い範囲を維持することで、酵素活性や代謝が正常に行われます。
肺の役割
肺は血液のpH調整に重要な役割を担っています。肺は空気中から酸素を取り込み、二酸化炭素(CO₂)を体外へ排出します。CO₂は酸性の廃棄物で、体内に蓄積するとpHが低下(酸性化)します。一方、CO₂が過剰に排出されるとpHが上昇(アルカリ化)します。肺は多数の血管と連携し、全身へ酸素を供給しながらCO₂を除去します。腎臓や体液の緩衝系とともに、体内pHを調節する三大システムのひとつです。
pHが高くなる(アルカローシス)
pHが7.4を超える状態はアルカローシスと呼ばれ、主に呼吸性アルカローシスが原因です。過呼吸や高速呼吸によりCO₂の排出が増えると血液がアルカリ性に傾きます。痛み、不安、喘息、肺炎、標高の高い場所などが過呼吸を引き起こすことがあります。また、脳腫瘍や外傷、肝不全、髄膜炎も呼吸性アルカローシスの原因となります。
pHが低くなる(アシドーシス)
pHが7.4未満になるとアシドーシスと呼ばれます。血中CO₂が減少して起こる呼吸性アシドーシスは、呼吸が低下したときに起こります。薬物や中枢神経系の障害、肺疾患が呼吸抑制を引き起こすことがあります。慢性気管支炎、嚢胞性線維症、肺気腫などで気道抵抗が増し、CO₂が体内に蓄積しやすくなります。
pH測定方法
血中の酸素と二酸化炭素の濃度は、動脈血液ガス分析(ABG)で測定できます。ABGは肺がCO₂をどれだけ効率的に除去しているか、腎臓と連携して血液pHをどの程度制御しているかを評価します。主に呼吸器疾患の診断や経過観察に用いられ、動脈から採取した血液(手首、鼠径部、腕など)を分析し、pHが7.35〜7.45の正常範囲にあるかどうかを確認します。
