ハンタウイルス感染症の治療法とは
ハンタウイルスは、主にシカネズミが保有するウイルスで、感染するとインフルエンザ様の症状を呈します。感染経路は、感染した齧歯類の糞・尿・唾液に接触し、これらが空気中に舞い上がったエアロゾルを吸い込む(エアロゾリゼーション)ことです。現在、ウイルス自体を直接除去する特効薬はなく、重篤化した場合の合併症に対する対症療法が中心となります。
早期発見の重要性
ハンタウイルスに感染したことが疑われる場合、できるだけ早く医療機関を受診することで、重篤な合併症のリスクを低減できます。感染が疑われる際は、以下の点を医師に伝えましょう。
- 齧歯類に接触した経験があるか
- 発熱・筋肉痛などインフルエンザ様症状があるか
早期に診断されれば、集中治療室で人工呼吸器による酸素投与や呼吸管理が行われ、呼吸不全を防ぐことが可能です。
ハンタウイルス肺症候群(HPS)とは
HPS は齧歯類が保有するハンタウイルスが原因で起こる肺炎様疾患で、主に米国西部で報告されています。感染経路は基本的にエアロゾル吸入ですが、稀に齧歯類に噛まれるケースも報告されています。シカネズミが保有する「シン・ノンブレ」ウイルスが米国での主要因子です。
HPS の治療
現在、ウイルスそのものを除去する治療法はありませんが、以下のような支持療法が行われます。
- 酸素投与(マスクまたは人工呼吸器)による呼吸管理
- 肺水腫の予防・治療
- 重症例では体外式膜型人工肺(ECMO)による血液酸素化
ECMO では血液を機械で循環させ、二酸化炭素を除去し酸素を付加した血液を体内に戻します。
リスク要因
以下のような状況や活動はハンタウイルス感染リスクを高めます。
- キャンプやハイキングなど野外活動
- 齧歯類が多く生息する倉庫・屋根裏・物置での作業
- 齧歯類の駆除や清掃作業
感染が疑われる環境では、マスクや防塵ゴーグルを着用し、エアロゾルの吸入を防止しましょう。
予防策
- 齧歯類の糞や唾液に直接触れない
- 清掃時は漂白剤(1.5カップの漂白剤を1ガロンの水で希釈)で十分に消毒し、使い捨ての手袋とマスクを着用する
- 死亡した齧歯類はまず漂白剤で中和し、プラスチック袋に入れて適切に処理(埋葬・焼却または保健所へ相談)する
- 作業後は手袋を消毒し、石鹸と温水で手をしっかり洗う
