Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)とは何か?
日常生活には数百万もの細菌が存在し、その中には有益なものも有害なものもあります。Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)は、特に妊婦の膣・直腸に常在し、出産時に新生児へ感染することで知られる細菌です。本稿では、同菌の特徴、感染経路、症状、予防策について解説します。
特徴
Streptococcus agalactiaeは、B群連鎖球菌に属し、ナトリウムヒップラートを加水分解する酵素活性を持ちます。19世紀後半に初めて分離され、当初は馬の糞など動物の排泄物に限定されると考えられていましたが、後の研究でヒトにも感染することが明らかになりました。
生息場所と感染経路
主に女性の膣と直腸の粘膜表面に常在し、約30%の妊婦が保菌者です。自然分娩時に胎児が産道を通過する際、細菌が新生児に付着します。検査で陽性と判定された新生児は約半数に上りますが、臨床症状を示すのは約2%未満とされています。帝王切開での出産では感染例は報告されていません。
症状と合併症
感染は早期と晩期に分けられます。早期は肺炎や軽度の髄膜炎を引き起こし、生後1日から1週間以内に症状が現れます。晩期になると重篤な髄膜炎や菌血症(血中に大量の細菌が存在)を引き起こすことがあります。
予防と治療
現在、感染後の根治的治療薬は確立されていませんが、予防的アプローチが進められています。妊娠前に健康な女性へワクチン接種を行うことで新生児感染を減少させる試みがあります。ただし、ワクチンや抗ウイルス薬の安全性に対する懸念から実用化は遅れています。近年では、分娩前にアムピシリンを静脈投与することで感染率を低減させた報告があります。
注意点
健康な成人女性では保菌率は低いものの、糖尿病、HIV感染、末梢血管疾患など基礎疾患を持つ人ではリスクが高まります。治療が遅れると死亡率は約20%に達します。妊娠を計画する際は、必ず医師と相談しリスク評価を受けることが重要です。
