分娩誘発の理由

多くの妊娠は自然に分娩し、合併症なく出産しますが、場合によっては医療的に分娩を誘発する必要があります。妊婦が定期的に産前検診を受けることで、超音波検査や体温、血液検査、既往歴などから分娩誘発が必要になるリスクを早期に把握できます。

子宮感染症(羊膜炎)

羊膜炎は子宮内の感染症で、子宮の圧痛、白血球増加、発熱などの症状が現れます。胎児と胎盤が子宮内にある間は抗生物質が効きにくく、診断がついた時点でできるだけ早く分娩を誘発する必要があります。出産後は新生児に対して最低48時間の抗生物質投与が行われます。

通常は薬剤による分娩誘発が選択され、胎児の状態が危険な場合を除き帝王切開は行われません。感染が子宮筋の収縮機能に影響を与えるためです。研究によると、胎児が感染に曝露されると脳性麻痺のリスクが上昇する可能性があります。早期に診断すれば治療は可能ですが、子宮筋が感染した「子宮内膜筋炎」の場合は回復に時間がかかります。

過期妊娠(予定日を過ぎた妊娠)

出産予定日から2週間以上経過しても陣痛が始まらない状態を過期妊娠と呼びます。過去に過期妊娠の経験がある、初産、男児などの要因で起こりやすいとされています。医師は胎児モニターや超音波で胎動や羊水量を確認し、リスク評価を行います。

過期妊娠では、胎児が胎便を吸引しやすくなり、出生後の呼吸障害リスクが高まります。そのため、妊娠が2週間過ぎた時点で分娩誘発が検討されます。一般的には子宮頸部を拡張させる薬剤を投与し、続いて合成ホルモン(ピトシン)で子宮収縮を促します。

羊水異常

羊水は胎児を保護し、肺・骨・筋肉・腸の発育を助ける重要な役割を持ちます。羊水量が過少(乏水)または過多(過水)になると、分娩誘発が必要になることがあります。

乏水(オリゴヒドロアミネス)は、流産、早産、先天性異常のリスクを高めます。原因としては過期妊娠や母体の高血圧・糖尿病などがあります。

過水(ポリヒドロアミネス)では、子宮が大きくなりすぎて母体の呼吸が困難になるほか、胎盤早期剥離、産後出血、死産などの合併症リスクが増大します。約20%の胎児が過水に起因する先天性異常を発症し、原因は胎児感染や母子血液型不適合などです。

以上のような状況が認められた場合、医師は母体と胎児の安全を最優先に、薬剤や必要に応じて帝王切開による分娩誘発を行います。

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