尿中結晶の識別方法
概要
尿中の結晶は、完全尿検査の顕微鏡観察段階で形状・色・尿のpH(酸性・アルカリ性)に基づき識別されます。結晶の有無は疾患の診断や全身の健康状態を示す重要な手がかりです。結晶は主に以下の3つに分類されます。
- 健康な人でも少量存在するもの
- 薬剤やX線造影剤によって生じるもの
- 疾患を示すもの
必要なもの
- 尿サンプル
- 尿化学試験紙
- 遠心管
- 遠心分離機
- ピペット
- ウェル付き顕微鏡スライド(推奨)
- カバーガラス
- 顕微鏡
- 尿の参考書
手順
ステップ1:pH測定と遠心分離
尿サンプル10〜15 ml を透明な遠心管に入れ、色や透明度(透明、濁り、曇り、濁性)を観察します。化学試験紙を尿に浸し、遠心管の上端で余分な尿を拭き取ります。記録は全項目(糖、タンパク質、血、白血球、硝酸塩等)を行いますが、結晶の有無はpHのみが判断基準です。その後、遠心分離機で2000〜3000 rpm、5〜10分回転させます。
ステップ2:沈殿の採取と顕微鏡観察
上清を除去し、底部の沈殿(ボタン)を軽く叩いて崩します。ピペットで沈殿を1滴、スライドに載せ、ウェルが無い場合はカバーガラスで覆います。低倍率(100倍)で結晶の有無を確認し、続いて高倍率(400倍)で詳細に観察します。健康な場合は結晶はほとんど見られません。
ステップ3:酸性尿中の結晶
pHが低い(酸性)尿に頻出する結晶は次の通りです。
- 尿酸結晶:形状は多様ですが、ロゼンジ形が代表的で琥珀色。
- シュウ酸カルシウム結晶:卵形、ダンベル形、二凹/二凸円板形がある。
- 無定形尿酸塩:砂状の顆粒で形は特にない。
ステップ4:アルカリ性尿中の結晶
pH7.5以上のアルカリ性尿は、検査前に尿が長時間放置された結果生じやすく、pH変化に伴い結晶が出現します。主な結晶は以下です。
- リン酸カルシウム結晶:プリズム、針状、星形の集合体。
- トリプルリン酸塩結晶:プリズム状で「棺蓋」様の形態。
- 無定形リン酸塩:ピンク色の砂状顆粒で形は不定。
ステップ5:薬剤・その他の原因による結晶
高用量の薬剤(スルファン系抗生物質、スルファジアジン、アモキシシリン、ビタミンC等)やX線造影剤によっても結晶が出現します。また、特定の疾患に伴う結晶もありますので、臨床的背景と合わせて評価してください。
