HIPAA(健康保険携行性と責任法)の概要
HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)は1996年に制定された米国の法律で、個人の医療保険記録に対する権利と保護を提供します。退職後も保険への継続アクセスが保証され、既往症を理由に保険加入を拒否されることも防止します。
医療記録へのアクセス
HIPAAにより、本人の許可なしに医療記録へアクセスされることは禁じられています。医療機関はプライバシーを保護し、記録を安全に管理する義務があります。記録に誤りがある場合は、修正を求める権利があります。また、特定の人や団体に記録の閲覧を許可するリリースフォームに署名することも可能です。
保険の携行性(Portability)
転職や保険会社の変更時には、以前の保険情報を示す書類が必要です。たとえば「保険継続証明書」には、前の保険会社名と保険開始・終了日が記載されます。COBRA対象者は、退職日や保険終了日を示す証明書を受け取ります。COBRAに加入すれば、雇用主が負担していた保険料全額を支払うことで、最大18か月間保険を継続できます。
特別加入(Special Enrollment)
特定の事情で保険を失った場合、特別加入の権利があります。たとえば、配偶者の保険に加入していたがその資格が失われた場合や、離婚・配偶者の死亡・転居・勤務時間の減少などで保険が失われた場合です。対象者は自分や扶養家族を別の保険プランに再加入させることができます。
差別の禁止
HIPAAは、健康状態を理由に保険の給付を拒否したり、保険料を上げたりすることを禁止します。健康診断に合格できなかったからといって加入が拒否されることはありません。保険開始時に被保険者や扶養家族が入院中であっても、保険料の増額や給付の遅延は認められません。また、過去の請求歴や参加している活動を理由に保険加入を拒否されることもありません。
既往症(Preexisting Conditions)
従業員向け団体保険では、既往症を理由に加入を制限したり拒否したりできません。保険会社は新たな加入前に、最大6か月分の医療記録を確認して既往症の有無を判断できます。既往症の除外期間は最大12か月で、除外は妊娠中や新生児・養子縁組された子どもには適用されません。
