電子健康記録(EHR)のプライバシーと安全性
電子健康記録(Electronic Health Record、EHR)は、医療機関・検査室・病院が保有する情報をデジタル化し、コンピュータで管理するシステムです。医療ミスの削減や医療費の抑制に大きく貢献していますが、プライバシー保護への懸念は根強く残っています。
歴史
EHR の起源は 1960 年代に遡ります。当時は「コンピュータベースの健康記録」と呼ばれ、保険会社や Medicare の管理目的でデータ収集が行われていました。2000 年に米国国立健康統計委員会が「患者医療記録情報の統一データ標準」を提示し、患者ケアの質向上に重点を置く方向へと転換しました。
EHR と個人健康記録(PHR)の違い
EHR には生年月日から処方薬の名称・用量、診療ノート、X 線画像、救急受診記録など、医療機関が保有するあらゆる情報が含まれます。一方、個人健康記録(PHR)は、患者自身が自ら入力・管理する情報です。例として、外科医長官が提供するオンライン家系図ツール「My Family Health Portrait」や、Google、Microsoft、WebMD などが提供するサービスがあります。EHR と PHR は連携可能ですが、プライバシーリスクはそれぞれ異なります。
HIPAA が EHR に与える影響
1996 年に制定された医療保険の携帯性と責任に関する法律(HIPAA)は、医療記録のプライバシー保護の基本法です。HIPAA は EHR へのアクセス権を厳格に制限し、医師や歯科医が保険会社などに情報を提供する際には患者の同意が必要です。署名前に HIPAA のプライバシー通知と情報開示同意書を必ず確認し、開示範囲を日時や治療内容に限定できるよう記入しましょう。
インターネット上でのプライバシー保護
一部の PHR は医療機関の EHR と自動連携できるよう設計されています。医療機関側は HIPAA の規制を受けますが、オンラインで PHR を管理する場合は、利用するサービスのプライバシーポリシーを慎重に確認する必要があります。紙のファイルで保管するか、信頼できるクラウドサービスを選ぶかは、利用者自身の責任です。
その他のプライバシー推進策
米国保健福祉省(HHS)は医療記録に関わる法令・規制の主要な執行機関です。民間団体としては、Healthcare Information and Management Systems Society(HIMSS)などがプライバシー基準の強化を訴えています。重要課題には、紙媒体から電子化への移行、記録閲覧時の患者通知、EHR へのオプトイン/オプトアウト機能、機密保持、患者自身の記録アクセス権の確保などがあります。
