医療モニタリング訴訟の概要と主要判例
医療モニタリング請求とは、原告が将来の健康被害を予測し、その予防的な診断や治療費用の支払いを求める訴訟です。過去25年間にわたり、米国の州裁判所・連邦裁判所で数多く提起されてきましたが、判例は一様ではなく、州ごとに要件が異なります。本稿では、代表的な判例とその判示のポイントを紹介します。
Lowe v. Philip Morris USA, Inc.(オレゴン州、2008年)
喫煙者がフィリップ・モリスに対し、将来の肺がんリスクを根拠に医療モニタリング費用の支払いを求めましたが、オレゴン州最高裁は「潜在的過失は確定的な過失とは異なる」とし、原告は現在の具体的な疾病を証明する必要があると判断しました。
Cole v. ASARCO, Inc.(オクラホマ州、2009年)
鉱山汚染による将来の健康被害を訴えたケースで、連邦地区裁判所はオクラホマ州法に基づき「既存の疾病や身体的損傷がなければ将来の医療費は回収できない」とし、医療モニタリング請求を認めませんでした。これはオレゴン判決と同様の基準を確認したものです。
Miranda v. DaCruz(ロードアイランド州、2009年)
子どもの鉛中毒が将来の健康問題につながると主張しましたが、裁判所は「身体的・発達的な症状が確認できない」ため、医療モニタリングの請求を退けました。
Donovan v. Philip Morris USA, Inc.(マサチューセッツ州、2009年)
喫煙者が早期がん検査の結果を根拠に、肺がんリスクの増大を証明し、医療モニタリング費用の支払いを勝ち取りました。この判例は「将来のリスクを医学的証拠で裏付ける」ことが重要であることを示しました。
2020年までに米国で40件以上の医療モニタリング訴訟が提起され、2023年現在、州ごとの判例は今後の訴訟戦略に大きな影響を与えています。
