PTSDに対するバーチャルリアリティ軍事訓練プログラム

PTSDとは

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、戦闘などの極度なトラウマ体験に起因する精神疾患です。米国退役軍人省によると、イラク・アフガニスタン帰還兵の11〜20%がPTSDに苦しんでいるとされています。

従来の治療と課題

一般的な治療法は認知行動療法や薬物療法ですが、戦闘で経験した死や重傷といった極端なトラウマは、従来の治療に反応しにくいことがあります。そのため、2008年以降、仮想現実曝露療法(Virtual Reality Exposure with Arousal Control、VREC-AC)が注目されています。

VREC-ACの仕組み

患者はVRヘッドセットや曲面プロジェクターで360度の映像環境に没入し、足下の大型トレッドミルで6自由度の動きを可能にします。医師は天候、音、匂い、暴力度合いなどをリアルタイムで調整し、患者の覚醒状態をモニタリングしながら段階的にトラウマ体験を再現します。

シミュレーション例

ヘリコプターやハンヴィーの乗車、負傷者の搬送など、実際の戦闘で再現が難しいシーンも仮想空間で再現可能です。また、義足や運動機能障害を持つ患者向けに環境を簡略化したり、人工武器や装備を装着させて実際に射撃できるようにすることもできます。

効果はあるのか

米海軍が2010年にカリフォルニアの2つの軍病院で実施した研究では、VREC-AC治療を受けた10人中9人がCAPS評価で30%以上の改善を示しました。一方、対照群では1人だけが改善しました。米国心理学会コミュニケーション委員会のジェフリー・ボーレンスタイン委員長は「PTSD治療の画期的な進歩」と評価しています。

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