錐体外路副作用(EPS)について解説
神経遮断薬(抗精神病薬)とは
統合失調症などの精神病性障害の治療に用いられる薬剤群で、主にドーパミン受容体を遮断します。代表的な薬剤にはジオドン(Geodon)、ハロペリドール(Haldol)、リスペリドン(Risperdal)などがあります。
錐体外路副作用(Extrapyramidal Side Effects: EPS)とは
神経遮断薬の使用に伴って現れる、運動系の異常反応です。主な症状は以下の通りです。
- ジストニア:筋肉が持続的に収縮し、痛みを伴う痙攣が起こります。
- パーキンソニズム:振戦や筋硬直がパーキンソン病に似た形で現れます。
- アカシジア:落ち着かない不安感や体を揺らす動作が続きます。
- 神経遮断薬悪性症候群(NMS):重度の筋硬直、発熱、意識障害を伴い、最悪の場合は致死的です。
クロザピンは他の抗精神病薬に比べてEPSのリスクが最も低いとされていますが、長期使用は血球減少など別の重大な副作用のため、米国や欧州では推奨されていません。
原因とリスク要因
正確なメカニズムは不明ですが、ドーパミン受容体への結合が選択的でないことが関与していると考えられています。リスクが高まる要因は次の通りです。
- 男性に多く見られる
- 高用量での投与
- 筋肉注射(IM)による投与
治療・対処法
EPSが疑われる場合、まずは原因薬の中止または減量を行います。その後、症状に応じて以下のような対策が取られます。
- 抗コリン薬(例:ベンゾトロピン)やベータブロッカーでジストニアやアカシジアを緩和
- パーキンソン病様症状には抗パーキンソン薬(レボドパやドパミン作動薬)を使用
- 重症例では、NMSに対しては速やかな薬剤中止と、体温管理・水分補給・筋弛緩薬(ジアゼパムなど)を併用
症状が落ち着いた後は、リスクの低い薬剤へ切り替えるか、用量を調整して再投与します。
