自然にヒントを得た、私たちと環境を救うアイデア
バイオミミクリーは、自然界に存在するプロセスや構造をヒントに、建築や電子機器、機械などのデザインに応用する新興分野です。自然の形は何十億年もの進化の結果であり、環境との調和を目指した最適化がなされています。バイオミミクリーは、こうした自然の知恵を人間の課題に取り入れることで、従来の設計に比べて効率を大幅に向上させ、環境負荷を低減させることを目指します。
建築デザイン
現代都市の建物は暖房・冷房・照明に膨大なエネルギーを消費し、コストと環境負荷が大きいです。自然界では、熱や寒さに敏感で光を必要とする多くの生物が、人工エネルギーなしで過酷な気候に適応した住居を作ります。ジンバブエでは、伝統的な煉瓦工法とシロアリの巣構造にヒントを得た設計を組み合わせ、同規模の建物のエネルギー使用量の10%未満で運用できる複合施設を実現しました。中央冷房を持たず、建物底部から風を取り入れ、内部を通して温まった空気は屋根の煙突から排出され、シロアリの巣と同様に自然換気で温度を調整します。
耐久性素材
素材の製造・使用・廃棄は温室効果ガス排出や埋立地の増加など環境に大きな影響を与えます。一方、生物は自己修復機構を持ち、損傷部位をエネルギーを最小限に抑えて再生します。哺乳類の皮膚の治癒プロセスに着想を得て、航空宇宙工学では内部に樹脂を封入したプラスチックシートを開発しました。シートが擦れたり穴が開くと、樹脂が表面に流れ出て乾燥し、傷口を覆うかさぶたのようなパッチを形成し、元の強度を取り戻します。この自己修復プラスチックは航空機の軽量化と燃料消費削減に寄与し、飛行の安全性向上にもつながります。
人工光合成
まだ研究段階ですが、人工光合成は植物が太陽光で水を分解し、炭水化物と酸素を生成する仕組みを模倣し、エネルギー源となる水素ガスを取り出す技術です。植物が光エネルギーより少ないエネルギーでこのプロセスを行うように実現できれば、化石燃料など汚染的なエネルギー源を置き換える可能性があります。
運動とシンプルな力学
地球上の生命は利用可能なエネルギーを最大限に活用するよう進化してきました。消化や移動といった生体プロセスは、我々の最先端機械の効率をも上回ります。そのため、科学者やデザイナーは自然の構造やプロセスをヒントに、より効率的な設計を模索しています。例えば、風力タービンのブレードはハンプバッククジラのひれ先端の凹凸(リブ)に着想を得て形状を改良し、抗力を減らし揚力を高めました。その結果、クジラが水中で高速に泳ぐように、タービンはより効果的かつ高効率に回転します。
