肥料と水銀汚染について

肥料が土壌に水銀汚染をもたらすという疑念がありますが、入手可能なデータは作物栽培地の水銀濃度は概ね安全な範囲にあることを示しています。肥料の流出が魚類の水銀汚染に直接結びつく証拠はなく、工場近辺での水銀汚染は報告されていますが、野菜を十分に洗うことで有害物質の摂取リスクは低減できます。

リン(リン酸)

リンは植物の成長に不可欠な元素で、光合成においてエネルギーの蓄積・転送に関与します。土壌中に自然に存在しますが、窒素・カリウムと組み合わせた可溶性肥料として加工され、特に根が浅いレタスや稲などに有効です。

リン酸肥料の製造

リン酸肥料は深部の鉱石から採掘されたリン酸岩石を粉砕し、硫酸、硝酸、またはリン酸で処理して作られます。この過程で微量の水銀副産物が生じ、肥料中に残留します。処理を施さずに廃棄すれば、工場排水や大気中に高濃度の水銀が放出される恐れがあります。世界のリン酸肥料産業は約35億ドル規模で、農業生産への影響は計り知れません。

土壌中の水銀濃度

EPA が世界各地で肥料使用後に測定した結果、表層土壌の水銀濃度は検出限界未満から 0.09 mg/kg までと報告されています。一方、肥料工場近隣の特定地域では 800 mg/kg と極端に高い値が確認されています。

土壌スクリーニング基準

EPA は土壌中の水銀に対する法的基準は設けていませんが、スーパーファンドサイトで使用される指針では、摂取時の安全上限を 23 mg/kg、吸入時を 10 mg/kg と定めています。800 mg/kg の濃度は植物の成長を阻害し、摂取や吸入により深刻な健康障害を引き起こす可能性があります。

その他の水銀源

分析結果は、肥料だけが土壌中の水銀の唯一の供給源ではないことを示唆しています。下水汚泥の散布や都市部からの大気沈着も考えられますが、いずれも EPA の指針を大きく下回るレベルです。

肥料と水銀汚染の関係

肥料製造時に硫酸を添加する過程で水銀が副産物として生じます。米国では環境への水銀排出を防止するための特殊技術が義務付けられています。土壌中の水銀が過剰になると、野菜を十分に洗わない場合に摂取リスクが高まります。また、耕作機械や風によって土壌が撹乱されると吸入の危険もあります。EPA のデータは、リン酸肥料の使用自体が直接的な水銀汚染を引き起こす証拠はないと結論付けていますが、近隣河川への流出が魚類の水銀蓄積に与える影響は十分に検証されていません。

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