発電所の排出削減に役立つ技術
背景
20世紀中頃、空気汚染が公衆衛生に与える危険性が広く認識され、米国では連邦・州レベルで規制が強化されました。1970年から2006年にかけて制定されたクリーンエア法により、環境保護庁(EPA)は特定の大気汚染物質の排出上限を設定する権限を獲得し、発電所の有害排出物削減が重要課題となりました。
スクラバー(脱硫装置)
石炭に含まれる硫黄は燃焼時に二酸化硫黄(SO₂)を放出し、酸性雨の原因となります。スクラバーは煙道ガスを専用タワーに通し、石灰石と水の混合液で噴霧することでSO₂を化学的に除去します。生成された石膏は壁材やコンクリートの添加剤として再利用され、残りの水蒸気は煙突から排出されます。
炭素隔離(カーボン・シーケストレーション)
炭素隔離は、発電所のフリーガスから二酸化炭素(CO₂)を分離・捕集し、地下の地層(採掘不可能な石炭層や枯渇油・ガス田)に貯蔵する技術です。米国エネルギー省が所有・運営する国立エネルギー技術研究所(NETL)が中心となって研究開発を進めており、商業利用の実現を2020年を目標にしています。現時点ではコストが高いものの、将来的な温室効果ガス削減手段として期待されています。
クリーン燃料への転換
米国の電力供給の約54%は石炭が占めており、燃焼時にSO₂、CO₂、さらには水銀やヒ素を含む灰・スラッジが排出されます。天然ガスなどのクリーン燃料に切り替えることで、SO₂やCO₂の排出量が大幅に減少し、灰の生成もほぼなくなります。これにより、温暖化、スモッグ、酸性雨の原因物質を効果的に抑制できます。
