廃水処理におけるペル酢酸の役割
廃水処理は大きく二段階に分かれます。まずフィルターや沈降によって汚れや沈殿物を除去し、次に放射線や塩素、ペル酢酸などの消毒剤で微生物を殺菌します。
歴史
1950年、F.P. Greenspan と P.H. Margulies は「Journal of Food Engineering」にペル酢酸の特許を出願し、主に農産物の衛生管理を目的としました。その後、用途は徐々に拡大し、現在では多くの公共下水処理施設で塩素に代わる消毒剤として採用されています。
重要性
当時の主流であった塩素は一部の用途、特に農産物の洗浄において効果が不十分でした。また、次亜塩素酸ナトリウムなどの他の消毒剤は環境負荷が高いと指摘されています。ペル酢酸は分解すると無害な酢酸と過酸化水素になり、最終的には水、二酸化炭素、氢にまで還元されるため、環境や人体への影響が極めて小さいのが特長です。
定義
ペル酢酸は酢酸 (CH3COOH) と過酸化水素 (H2O2) の反応で生成され、化学式は C2H4O3 です。
使用例
水処理業者や配管工は、ペル酢酸が高い殺菌力と安全性を兼ね備えている点から頻繁に使用します。Lenntech によれば、冷却塔の水の消毒やバイオフィルムの抑制、レジオネラ菌のコントロールに有効です。廃水処理においては、一次処理で除去しきれなかった残留菌を効果的に死滅させ、最終的な放流水の安全性を高めます。
安全性とリスク
純粋な状態のペル酢酸は人体や環境に対して低毒性です。水中に入るとすぐに酢酸と過酸化水素に分解し、さらに水、氢、二酸化炭素へと変化します。そのため、下水処理施設で広く使用しても長期的な化学的残留はほとんど残らず、安全に利用できます。
