抗体の脱グリコシル化

抗体は体内で病原体や病原体に対抗するために産生されるタンパク質で、しばしば保護的な糖鎖(グリカン)が付加されています。抗体の脱グリコシル化とは、これらの糖鎖を除去することを指します。脱グリコシル化は自然界でも、実験室でも起こります。

自然界における脱グリコシル化

ヒトの免疫グロブリンA1(IgA1)は、歯周病に対抗する抗体で、9炭糖のシアル酸が付加されています。しかし、さまざまな病原体がこのシアル酸を除去し、抗体がさらに分解されやすくなることが報告されています(Acta Pathologica, Microbiologica et Immunologica)。

脱グリコシル化の目的

実験室では、以下のような目的で抗体から糖鎖を除去します。

  • ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)など、糖鎖が分子量分離を妨げるため。
  • 質量分析(MS)において、タンパク質単体の質量や構造を正確に測定するため。
  • 糖鎖自体の構造や機能を研究するため。

脱グリコシル化の方法

主に、N-結合型糖鎖(アスパラギン残基に結合)の除去には酵素処理と加熱を組み合わせます。マイクロ波加熱を用いると、従来の加熱に比べて数分で完了し、時間を大幅に短縮できます。一方、O-結合型糖鎖(スレオニン残基に結合)は除去が難しく、複数段階の処理が必要です。

医学研究 - 関連記事