クローン技術と幹細胞研究の違いと共通点
クローン技術
米国エネルギー省が支援するオークリッジ国立研究所(ORNL)によると、クローンには DNA クローン、繁殖クローン、治療クローンの3種類があります。DNA クローンは「目的とする DNA 断片をある生物から自己複製可能な遺伝子要素へ移す」手法で、組換え DNA 技術や分子クローニングとも呼ばれます。繁殖クローンは既存の動物と遺伝的に同一の個体を作り出す方法です。治療クローン(胚クローン)は研究目的、特に幹細胞研究のためにヒト胚を作製する手法です。
幹細胞研究
ORNL は「幹細胞はヒト体内のほぼすべての特化細胞に分化できる」と述べており、医療分野で重要視されています。研究対象は成人の皮膚や臍帯血、ヒト胚などから採取された幹細胞です。これらの細胞は損傷した組織の置換に利用され、心臓病、脊髄損傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、糖尿病、関節リウマチ、がんなど多くの疾患の治療が期待されています。一方、胚から幹細胞を取り出す際には胚が破壊されるため、倫理的な問題が指摘されています。
遺伝子工学との関係
クローン技術と幹細胞研究は遺伝子工学の重要な手段です。遺伝子工学は細胞や生物の DNA 構造を改変する技術で、幹細胞は改変された遺伝子を組み込むキャリアとして利用されます。クローンは改変された細胞を複製することで、遺伝子改良動物の同一コピーを作り出すことが可能です。ワシントン D.C. の Pew Research Center は「遺伝子工学とクローンは手を取り合って発展する」と報告しています。
特許と利益
クローン技術・幹細胞研究の両者は、DNA 製品に対して特許取得が可能です。ORNL によれば、DNA 製品は「単離、精製、または自然界に存在しない形に改変された」場合に特許性が認められます。特許対象は遺伝子や遺伝子断片、遺伝子検査、タンパク質、幹細胞、ゲノム配列の改変などです。クローンの場合、特許から得られる利益は主に畜産や農業分野での動物の販売に結びつき、羊、サル、魚、猫などが対象となっています。一方、幹細胞研究では研究者が改変細胞の使用権を取得するために費用がかかり、既存特許や新規特許の法的確認に時間とコストが必要です。
倫理的・社会的論争
クローン技術も幹細胞研究も倫理的議論の中心にあります。幹細胞研究はヒト胚の破壊を伴うため「生命の尊厳」に関する批判が起こります。クローンに関しては、遺伝子組み換え動物の安全性や、ヒトクローンが実現した場合の人権・安全性・子どもの責任問題などが指摘されています。ActionBioScience の Glenn McGee は、ヒトクローンは「道徳的に自然の壁を越える」行為だと警告しています。
