院内感染症(HAI)の有病率と対策の最新動向

背景

CDCは1970年代初頭にNational Nosocomial Infections Surveillance (NNIS)システムで院内感染症(HAI)の監視を開始しました。2002年の推計では、HAIにより年間98,059人が死亡し、2009年までの治療費は年間284億〜338億ドルとされました。ただし、これらのデータは病院の自主的な報告に依存していました。監視効率と予防を高めるため、CDCは2005年にNational Healthcare Safety Network (NHSN)を導入し、全国の電子報告システムと連携させました。

HAIの主な病原体

HAIの84%を占める10種の主要病原体は、以下の通りです。

  • コアリス菌(15%)
  • 黄色ブドウ球菌(15%)
  • 腸球菌属(12%)
  • カンジダ属(11%)
  • 大腸菌(10%)
  • 緑膿菌(8%)
  • 肺炎桿菌(6%)
  • エンテロバクター属(5%)
  • アシネトバクター・バウマニ(3%)
  • オキシトカ・肺炎桿菌(2%)

これらは主に尿路感染(32%)、手術部位感染(22%)、肺炎による呼吸器感染(15%)、血流感染(14%)を引き起こします。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)など抗菌薬耐性の増加が治療を難しくしています。

HAIの有病率

院内で最も感染が多いのは集中治療室(ICU)で、ハイリスクユニットや新生児集中室でも多数の感染と死亡が報告されています。手術部位感染は退院後に発症するケースが多く、報告数にばらつきがあります。当初のNNIS統計は病院全体の数値しか示さず、部位別の正確な把握が困難でした。

継続的な取り組み

都市化、汚染、高齢化、結核の再流行、国際旅行の増加などがHAI増加の要因とされています。多くの医療機関が手指衛生や手袋着用といった基本的な感染対策を導入し、CDCはMRSA対策プログラムを実施しています。

進展と課題

2009年までに多くの組織・政府機関・学術機関がHAI対策を策定しましたが、全国的な報告義務や感染管理の法的義務はまだありません。ペンシルベニア州は州全体での報告制度を導入し、ニューヨーク州は医療従事者に感染管理研修を義務付けました。Institute for Healthcare Improvementの「100,000 Lives」プログラムやノースカロライナ州の継続教育への感染管理組み込みなど、成果が見られます。今後も感染率低減に向けた取り組みが期待されます。

医学研究 - 関連記事