Naegleria fowleri(赤鼻アメーバ)の生活環

淡水に生息するアメーバ Naegleria fowleri は、生活環のうち2つの段階でヒトに寄生し、致死性の髄膜炎様炎症を引き起こします。鼻粘膜から侵入し、嗅神経を経由して脳へ到達します。症状は感染後3〜10日で現れ、診断は主に剖検で行われます。

トロフォゾイト(栄養段階)

トロフォゾイトはヌメリ状の形態で、広く丸みを帯びた偽足を伸ばしながら活発に運動します。この段階でアメーバは餌を取り、ヒトの脳組織を食害します。トロフォゾイトは脳脊髄液や脳、嗅神経内で生存可能で、細胞質には液体が入った液胞があり、真核生物に典型的な細胞小器官を備えています。電子顕微鏡像では、細菌を捕食するためのカップ状の細胞表面突起が確認されています。移動時、後方は粘着性があり、細い繊維が引きずられることがあります。

増殖

トロフォゾイト段階で Naegleria fowleri は無性分裂により増殖します。全ての段階で核は明瞭で、核小体は大きく濃密です。核分裂の際は核膜は維持されたままで、核小体が分裂し、娘細胞へと遺伝情報が分配されます。

鞭毛体(運動段階)

水温が27〜37℃(80.6〜98.6°F)の淡水中で、トロフォゾイトは1〜20時間で2本の鞭毛を形成します。鞭毛は中心のフィラメントとそれを包む細胞質から構成され、培養液の攪拌や細胞の年齢が鞭毛形成に影響します。形成された鞭毛は最大24時間維持され、細胞は泳ぐことができ、淡水や脳脊髄液中での拡散が促進されます。鞭毛体は餌を取らず、大きな収縮液胞を持ち、細胞内の余分な水分を排出します。実験室では、蒸留水に移すと鞭毛は消失します。

嚢胞(休止段階)

嚢胞は生活環の最終段階で、形態が球状に変わり細胞壁が厚くなりますが、1〜2個の小さな孔が残ります。内部はトロフォゾイトに似た小型の形態で、明瞭な核を持ちます。嚢胞は水、土壌、培地中で形成されますが、ヒト組織内では形成されません。乾燥環境下では約5分間しか生存できないため、空気中の嚢胞による感染は極めて稀です。

曝露と環境分布

Naegleria fowleri は塩素処理されていない温かい淡水に生息し、海水では見つかりません。米国での死亡例の多くは、温水浴槽や深井戸から供給されたプールでの曝露が原因です。オーストラリアでも同様のプール曝露例が報告されています。ジョージア州の子供は暖かい小川で遊んでいる際に感染しました。さらに、温泉、汚泥、空調の凝縮装置、原子力発電所の冷却水によって温められた湖でも検出されています。

以上が Naegleria fowleri の生活環と人への感染リスクの概要です。

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