廃棄物処理に関する課題
米国では、産業廃棄物と住宅廃棄物の処理に関する法律は州ごとに異なります。非危険性の一般ゴミは主に自治体が処理し、産業廃棄物や医療廃棄物などの有害廃棄物は排出者自身が管理責任を負います。いずれの処理方法にも欠点があり、法規制や責任の所在を巡って廃棄物処理は米国各地で深刻な問題となり、環境・健康・地域の景観に悪影響を及ぼしています。
埋立地(ランドフィル)
埋立地周辺に住む住民や環境保護団体は、以下のような問題点から埋立に強く反対しています。
- 埋立は衛生埋立、都市固形廃棄物埋立、建設・解体廃棄物埋立、産業廃棄物埋立の4つに分類されますが、いずれも有害化学物質や大量のメタンガスを発生させます。
- 害虫やハトなどの鳥類が集まり、土壌汚染が雨水に流れ込み地域の水系を汚染します。
- 風によってごみや悪臭が拡散し、分解しにくい廃棄物が長期間残ります。
- 公衆の反対が強く、新規埋立地の建設はほとんど進まず、既存の埋立地でも安全対策の導入が求められています。
水域への環境影響
廃棄物処理業者が有害な産業廃棄物を海や河川に投棄することで、水生生態系に深刻な被害が出ています。下水汚泥、掘削油、化学・放射性廃棄物、プラスチックなどが海や河川に流入し、海洋生物を死滅させ、人間が海産物を摂取する際の健康リスクも高まります。2011年にペンシルベニア州のAllan's Waste Water Service社が起訴されたほか、Occidental Petroleum、Unocal Oil、Texaco‑Chevron なども同様の違法投棄で訴追されています。
焼却処理の懸念
医療廃棄物や液体・ガス状廃棄物の焼却は、ダイオキシンや鉛といった有害物質を大気中に放出します。環境団体グリーンピースは、がんの原因となるダイオキシンの排出を指摘し、すべての焼却炉は安全ではないとする84ページの報告書「Incineration and Human Health」を公表しています。医療廃棄物の処理業者は焼却以外の代替手段を求められ、住宅廃棄物の焼却は肺疾患のリスクを高め、毒性の高い灰の処分という新たな課題を生んでいます。
核・放射性廃棄物の処分
核エネルギーや放射性物質を利用する施設では、使用済みの核・放射性廃棄物を長期保管するケースが多く、処分のコスト・健康リスク・処理期間が大きな課題です。米エネルギー省は、これらの廃棄物を適切に処分するには約75年と3,000億ドルが必要と見積もっています。
