法的・違法薬物乱用の実態と影響

世界保健機関(WHO)は、精神作用物質の有害な使用を「薬物乱用」と定義しています。薬物乱用は合法薬物でも違法薬物でも起こり得ます。米国では1996年の全国薬物乱用調査で、約1300万人が違法薬物を使用していたと報告されています。薬物乱用は過剰摂取死や依存症(中毒)を招き、行動・身体・精神にさまざまな問題をもたらします。

タバコとアルコール

  • 米国ではタバコとアルコールは合法ですが、最も広く乱用されている物質です。成人の約25%が喫煙し、10%がアルコール依存または乱用とされています。

    タバコに含まれるニコチンは強い依存性を持ち、さらに数千種の有害化学物質ががんや心血管疾患のリスクを高めます。喫煙は年間約50万人の死亡原因となり、医療費は年間1000億ドルに上ります。

    アルコールは中枢抑制剤で、心肥大、食道・膵臓・胃がん、肝不全の主な原因です。急性離脱は致命的になることもあり、交通事故死の半数はアルコールが関与しています。1992年だけでアルコール乱用による経済損失は1500億ドルと推定されています。

マリファナ(大麻)

  • 大麻はカンナビス植物から得られ、2010年時点で米国14州で医療用が合法化されていますが、連邦法では依然として違法です。主成分のΔ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)はリラックス効果や協調運動・記憶障害を引き起こします。

    がんや慢性疼痛、不安、緑内障などへの有効性については議論が続いており、一部の研究はがん患者への潜在的利益を示す一方、がんリスク増加の指摘もあります。

ヘロインとコカイン

  • コカイン乱用者は米国で約150万人と推定され、快感や覚醒、偏執的な思考をもたらしますが、血管収縮、心筋障害、不整脈、脳卒中、腎臓・肺障害、最悪の場合は死亡リスクがあります。

    1998年の全国薬物乱用調査によると、ヘロイン使用者は約2400万人に上ります。ヘロインは鎮静・快感・呼吸抑制をもたらし、心臓弁膜の破壊、HIV/AIDSや破傷風・ボツリヌス中毒などの感染症リスク、致命的な離脱症状が特徴です。治療は医療監視下での管理が必須です。

メタンフェタミンとクラブドラッグ

  • メタンフェタミンは強力な中枢刺激薬で、覚醒感・食欲減退・快感を引き起こします。副作用は急激な体重減少、歯の崩壊、心臓障害、心筋梗塞、脳卒中、重度の高血圧、最悪の場合は死に至ります。

    クラブドラッグはレイブやパーティーで使用される薬剤群で、エクスタシー(MDMA)、GHB、ロヒプノール(フラジール)、ケタミン、PCPなどが含まれます。これらは疼痛感覚の喪失、記憶喪失、意識消失、幻覚、昏睡、死亡を招くほか、GHBやロヒプノールは性的暴行(レイプ)に利用されるケースが多いと報告されています。

世界の実態

  • WHOのデータによれば、世界でアルコール使用障害を抱える人は約7630万人、薬物使用障害は約1530万人です。また、136か国で注射薬物使用者が確認されており、HIV/AIDS感染拡大のリスクが指摘されています。薬物治療に1ドル投資すると、社会・医療費として7ドルの節約効果が期待できます。

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