股関節置換術の合併症と対策

手術の概要

股関節置換術(人工股関節全置換)は、慢性的な疼痛や可動域制限を引き起こす変形・損傷した股関節に対して行われます。全身麻酔または脊椎麻酔下で、患部の関節を除去し、摩耗に強い人工関節に置換します。術後は痛みが軽減し、日常生活や歩行が改善されることが期待されます。

主な手術リスク

  • 感染

    術後の感染は最も深刻な合併症です。軽度であれば抗生物質で治癒しますが、深部まで感染が広がると人工関節の除去・再置換が必要になることがあります。

  • 骨折

    手術中や術後に股関節周囲の健康な骨が折れることがあります。小さな骨折は自然治癒しますが、大きな骨折はワイヤーや骨移植で固定する必要があります。

深部静脈血栓症(DVT)

血栓が下肢の深部静脈に形成されると、肺塞栓症(PE)へ移行し、命に関わる危険があります。予防策として、抗凝固薬の投与、弾性ストッキングや足底圧迫装置の使用、早期の下肢運動が推奨されます。

新関節に関する問題

  • 脱臼

    術後6週間程度は股関節脱臼のリスクが高く、激しい動作や特定の体位は避ける必要があります。脱臼は激しい痛みと歩行困難を引き起こします。

  • 骨化(異常骨化)

    関節周囲の軟部組織が硬化することがあります。予防のために非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や放射線療法が用いられることがあります。

  • 関節緩み(ゆるみ)

    時間の経過とともに人工関節が緩むと、再び疼痛が出現し、再手術が必要になる場合があります。

その他の合併症

  • 脚長差

    手術により、手術側の脚が長くなる、または短くなることがあります。脚長差は歩行姿勢の乱れや腰痛の原因となり、必要に応じてシューズインソールで調整します。

  • 人工関節の摩耗・破損

    人工関節は時間とともに摩耗し、再置換手術(リビジョン手術)が必要になることがあります。

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