乳房切除術(マステクトミー)の歴史
実践の先駆者
一部の歴史家は、古代エジプトで3000年以上前に乳房切除が行われていたと主張していますが、医学界で本格的に取り入れられたのは19世紀初頭です。1811年、パリの女性が複数の腫瘍を除去する手術を受け、30年余命を全うしました。手術後の激しい痛みを綴った彼女の記録が、後の外科技術改良の土台となりました。
形を成す
ウィリアム・S・ハルステッドは乳がん研究に長年取り組み、1882年に「ラジカル乳房切除術」を提唱しました。この手術は、がんがある乳房だけでなく、対側の乳房、リンパ節、胸筋の大部分を切除するもので、効果は高いものの外観の変化が大きく、患者の生活の質に課題が残りました。
新たな考え
ハルステッドの手術は数十年にわたり標準とされましたが、1955年頃になると、ハザード医師とクライブ医師らが患者の快適さを重視し、甲状腺の関与や手術の過剰さを指摘し、より低侵襲な手術への転換を提唱しました。この議論は1970年代後半に広がりました。
新しい手術法
1977年以降、多くの外科医はがんがある側の乳房だけを切除し、術後に化学療法や放射線療法を組み合わせる「部分的ラジカル乳房切除術」を採用しました。1980年代はこの方法が主流となり、1990年代には予防的に1〜2個の腫瘍ができた段階で乳房切除を選択する女性も増えました。
現在
近年は、まず腫瘍だけを除去する乳房温存手術(ルンプトミー)が推奨され、術後に化学療法・放射線療法を行うことで再発リスクを低減します。これにより、可能な限り乳房組織を残すことが目指されています。
