解剖学

精巣は陰嚢にあり、そこで精子が作られます。成熟した精子は精管(せいかん)と呼ばれる細い管を通って、精嚢へ運ばれ、そこで貯蔵されます。射精時に、前立腺で作られる精液と混ざります。

手術手順

手術は通常、診療所で局所麻酔を陰嚢に注射して行います。麻酔が効くまで陰嚢を剃毛し、消毒します。その後、陰茎下部の陰嚢に小さな切開を入れ、片側の精管を探します。精管を二か所で永久縫合し、縫合間を切断します。切断端を焼灼(やきしゃく)して再結合を防ぐこともあります。反対側も同様に処置し、最後に切開部を縫合します。1990 年以降、米国では切開を行わず小さな穿刺で処置する「ノーインシジョン法」も普及しており、痛みが少なく回復が早いとされています。

回復期間

手術直後は自宅で安静にし、氷嚢で患部の腫れや出血を抑えます。必要に応じてアセトアミノフェン等で痛みを和らげます。術後1〜2日安静を保ち、1週間は重いものを持ち上げないようにし、性交は3〜4日間控えます。精子は最大で6週間は射精液に残るため、術後は数回医師の診察を受けて精子の有無を確認します。

リスク・副作用

術後に軽度の内出血や腫れが起こることがありますが、通常は自然に治癒します。勃起機能や射精の感覚に影響はなく、UCLA泌尿器科の調査でも同様の結果が報告されています。ただし、6週間以内は射精液に精子が残るため、その期間は他の避妊法を併用する必要があります。女性の卵管結紮術に比べ、精管切除は侵襲が少なく費用も安価で、妊娠予防効果は99%以上と非常に高いです。

再結合手術(逆手術)

将来的に子どもを望む場合、精管再接合術(バソバソストミー)を受けることができます。焼灼した切断端と縫合糸を除去し、精管の両端を再びつなぎ合わせます。成功率は約40〜50%であり、完全に元に戻る保証はありません。そのため、精管切除は基本的に永久的な避妊手段と考えるべきです。