鍼治療とクッシング症候群
クッシング症候群(クッシング病)は、ヒトでは稀ですが、犬や馬では比較的頻繁に見られる副腎疾患です。腫瘍が原因の場合は手術が必要になることがありますが、その他の原因に対しては鍼治療などが体の自己治癒力を高める手段として期待されています。
副腎の働き
ストレスがかかると、体は「闘争・逃走」反応を促す化学物質を分泌します。副腎はアドレナリンに加え、DHEA、アルドステロン、コルチゾールといった主要ホルモンを産生し、血圧、血糖、脂肪代謝、性ホルモン、ミネラルバランスなどを調整します。慢性的なストレスは副腎機能を乱し、さまざまな健康障害を引き起こす可能性があります。
クッシング症候群(クッシング病)
クッシング症候群は、過剰なコルチゾールが原因で起こる副腎障害の総称です。その中でも「クッシング病」は、下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が過剰になることが主因です。ACTH過剰により副腎は過剰なコルチゾールを産生し、血糖上昇、血圧上昇、発汗、体重増加、うつや不安といった症状が現れます。
鍼治療
鍼は数千年にわたり中国で主要な治療法として用いられ、近年は西洋医学の専門家の間でも関心が高まっています。皮膚の特定のツボに細い針を刺し、必要に応じて針を刺激したり温めたりします。科学的に正確なメカニズムは未解明ですが、伝統的な中国医学では「気」の流れを整えることで身体のバランスを回復すると説明されています。
有効性
米国『The American Journal of Chinese Medicine』に掲載された研究では、電気刺激を併用した鍼治療が犬の副腎機能を正常化させる効果が示されました。メイヨークリニックは、人間に対する鍼治療の有効性を検証する際、プラセボ(偽鍼)を作成するのが難しいため、研究が複雑になると指摘しています。
考慮すべき点
鍼治療に加えて、ビタミンC、B群、Eを豊富に含む食事や、シベリア人参、甘草、ツボクサ(Gotu Kola)などのハーブサプリメントが副腎ホルモンのバランスをサポートします。また、牛由来の副腎抽出物も有用とされています。ただし、腫瘍が原因で副腎機能が障害されている場合は、手術が最も効果的な治療となります。
