ホジキンリンパ腫に対する放射線療法
ホジキンリンパ腫(ホジキン病)は、免疫系のリンパ球という白血球ががん化する疾患です。リンパ球は体内で感染と闘う重要な役割を果たしています。放射線療法(放射線治療)は、ホジキンリンパ腫の治療に様々な形で利用されます。
放射線療法の概要
米国がん協会によると、放射線療法は高エネルギーの放射線を用いてがん細胞の増殖を抑制したり、破壊したりする治療法です。ホジキンリンパ腫に対しては、外部ビーム放射線(X線装置に似た装置)を用いて、がんが存在する部位に正確に線量を照射します。この方法は、リンパ腫が体の一部に限局している場合に特に有効です。
放射線単独治療
早期に診断された場合、放射線療法だけで治療が完結することがあります。主に以下の2種類が用いられます。
- 関与領域放射線(Involved‑field radiation):がんが見つかったリンパ節に限定して照射します。
- 拡張領域放射線(Extended‑field radiation):がんの拡がりを予防するため、より広い範囲に照射します。横隔膜上では「マントルフィールド放射線」と呼ばれ、胸部・頸部・腋窩のリンパ節を含みます。横隔膜下では「インバーテッドYフィールド放射線」と呼ばれます。近年は精密な治療技術の進歩により、拡張領域放射は比較的少なくなっています。
放射線と化学療法の併用
多くの場合、放射線療法は化学療法と組み合わせて行われます。腫瘍専門医はまず静脈注射または経口で化学療法薬を投与し、その後関与領域放射線を照射します。この併用療法は外来で行われ、約4週間続くことが一般的です。メルクマニュアルによれば、初期段階のホジキンリンパ腫患者の80%以上がこの治療で完治しますが、進行例では成功率は約50%に低下します。
副作用と注意点
放射線療法には短期的・長期的な副作用があります。短期的には疲労感、皮膚のやけど、吐き気、口腔乾燥、血球減少、下痢などが報告されています。長期的な影響は照射部位により異なり、甲状腺機能障害、脳卒中や心臓病・心筋梗塞のリスク増加、将来的ながんの二次発生リスクが挙げられます。
小児がホジキンリンパ腫で放射線治療を受ける場合、骨の成長障害や体形の変形が懸念されます。そのため、可能な限り低線量で照射し、影響を最小限に抑える工夫が行われます。また、妊娠中に診断された場合は、胎児を鉛シールドで保護しながら放射線を行うことがあります。治療のリスクとベネフィットについては、必ず腫瘍専門医と相談してください。
