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ラット肺虫(Angiostrongylus cantonensis)とは?

ラット肺虫(Angiostrongylus cantonensis)とは

ラット肺虫は寄生性の線虫で、ヒトや動物に血吸虫症(angiostrongyliasis)という重篤な疾患を引き起こすことがあります。通称はラット肺虫、ラットの肺虫、ラット肺フックなどです。

基本的な特徴

  • 線虫の一種で、細長く円筒形の体を持ちます。
  • 生活史は複雑で、ラットが一次宿主、カタツムリやナメクジが二次宿主、ヒトや他の動物が三次宿主となります。

生活史

  1. ラット内の成虫:成虫は感染ラットの肺動脈や肺組織に寄生します。
  2. 卵と第一期幼虫:成虫は卵を産み、卵は第一期幼虫へと孵化します。
  3. カタツムリ・ナメクジへの移行:第一期幼虫はラットの糞とともに環境へ放出され、カタツムリやナメクジに摂取されます。
  4. カタツムリ・ナメクジ内での発育:宿体内で幼虫は感染力を持つ第三期幼虫(メタセルカリア)へ成長します。
  5. 第三期幼虫の摂取:ヒトや動物が生または加熱不足のカタツムリ・ナメクジ、汚染野菜などを食べると感染します。体内に入った第三期幼虫は組織を移動し、様々な部位に到達します。

症状と疾患

ヒトでは幼虫の移動先に応じて症状が変化し、軽度から重度まで幅があります。主な症状は以下の通りです。

  • 髄膜炎、頭痛、首のこり、嘔吐、悪心、腹痛
  • 全身の倦怠感や皮膚症状
  • 好酸球増多症(血液中の好酸球が増える)
  • 重症例では長期的な神経障害や死亡に至ることもあります。

リスク要因

  • 生または加熱不足のカタツムリ・ナメクジの摂取が最大のリスクです。
  • 東南アジア、太平洋諸島、オーストラリアの一部など、ラット肺虫が流行している地域に住む人はリスクが高まります。
  • 園芸・農作業や野生のカタツムリ・小動物を適切に調理せずに食べる行為も感染リスクを増大させます。

予防策

以下の対策で感染リスクを大幅に低減できます。

  • カタツムリ・ナメクジ・淡水エビなどを生で食べない。必ず十分に加熱する。
  • 野菜や果物は流水でよく洗い、調理前に表面の汚れを除去する。
  • 食材や調理器具の衛生管理を徹底し、特に屋外での作業後は手洗いを行う。

治療

現在、血吸虫症に対する特効薬はありません。治療は主に症状緩和と合併症の管理に焦点を当てます。重症例では抗寄生虫薬を使用して虫体数を減らすことがありますが、疼痛管理や抗炎症薬、安静などの支持療法が中心です。

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