胸腺腫の原因は何ですか?
背景
胸腺腫は胸骨の裏側にある胸腺にできる稀な癌です。胸腺は免疫系のリンパ球を産生する重要な臓器です。胸腺腫は通常ゆっくり成長し、胸腺内にとどまりますが、心臓や肺など他の胸部臓器に浸潤すると「浸潤性胸腺腫」と呼ばれます。胸腺細胞の形態が変化し、急速に全身へ転移する「胸腺癌(胸腺癌)」はさらに悪性度が高く、治療が極めて難しいです。
原因
胸腺腫は胸腺の上皮細胞が悪性化することで発生します。リンパ球が癌化した場合は「リンパ腫」となります。具体的な原因は不明ですが、主に中年層に発症しやすいとされています。一方、胸腺癌は年齢に関係なく起こり得ます。胸腺腫は筋無力症(重症筋無力症)と強く関連しており、胸部X線検査などで他疾患の検査中に偶然発見されることが多いです。
影響・症状
多くの患者は無症状であり、症状が出る場合は咳、息切れ、胸痛など他の胸部疾患と似た症状が現れます。胸腺は免疫機能に関与しているため、胸腺腫患者はさまざまな自己免疫疾患を併発しやすいです。具体例として、重症筋無力症、純赤血球無形成症、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎、シェーグレン症候群、低γグロブリン血症、関節リウマチなどが挙げられます。
治療法
非浸潤性胸腺腫(胸腺内に限局している場合)は外科的切除が第一選択です。手術が不可能なケースや切除後に残存が疑われる場合は、胸腺腫が放射線に感受性が高いため、放射線療法が有効です。浸潤性胸腺腫は手術に加えて放射線療法が併用されることが一般的で、手術が不適応の場合でも放射線療法が主な治療となります。胸腺癌は手術・放射線療法に加えて、ステロイドや化学療法(複数薬剤併用)が用いられます。化学療法は転移が認められる場合に特に効果が期待されます。
予防
胸腺腫は非常に稀であるため研究が限られており、特定の予防法は確立されていません。したがって、がん全般に共通する生活習慣(バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙など)を心がけることが現時点での最善の予防策です。
