エタネルセプトによるアルツハイマー病治療 - 医療情報
エタネルセプトとは
エタネルセプトは、1998年に米FDAが関節リウマチ治療薬として承認した生物学的製剤です。腫瘍壊死因子(TNF)という炎症性サイトカインを阻害し、関節の腫れや痛みを軽減します。
パイロット試験
エドワード・トビニック医師は、2006年にエタネルセプトをアルツハイマー病患者15名に対し、頸椎へ注射する方法で試験しました。投与後は直立姿勢を保ち、薬剤が脳へ速やかに届くようにしました。中等度から重度の症状を示す患者で、数週間以内に認知機能の顕著な改善が観察されました。
症例紹介
81歳男性患者は、日時や居住地を記憶できないなどの認知障害を示していました。治療後10分以内に年や居住都市を正確に答えられるようになり、周囲への注意力も向上。1回の投与だけで、1週間後には妻と息子が認知機能の改善を確認しました。
研究の課題
パイロット研究は対象が少なく(重度認知症患者3名は除外)、結果が過度に楽観的になる可能性があります。また、トビニック医師がエタネルセプトのアルツハイマー病適応に関する特許を保有していることから、利益相反の懸念も指摘されています。長期的な安全性や有効性を示す十分なデータはまだ不足しています。
今後の研究
MITテクノロジーレビューによれば、TNFは脳内でも自然に産生され、アルツハイマー病患者ではその濃度が上昇しています。過剰なTNFは神経細胞の損傷やシナプス伝達の障害を引き起こすと考えられます。エタネルセプトによるTNF抑制が認知機能に与える影響を明らかにするため、大規模な臨床試験が必要です。
