胸膜出血(Pleural hemorrhage)とは?
概要
胸膜出血(Pleural hemorrhage)とは、肺を覆う臓側胸膜と胸腔を裏打ちする壁側胸膜の間に血液がたまる状態を指します。通常、この胸膜腔にはごく少量の液体が存在し、呼吸時に肺がスムーズに膨張・収縮できるようになっています。
主な原因
胸膜出血の多くは外傷、肺がんなどの悪性腫瘍、あるいは中心静脈カテーテル留置や胸腔穿刺といった医原的処置が原因です。稀に、血友病や抗凝固療法による自発的出血も起こります。
症状と身体所見
症状は非特異的で軽度の場合は見逃されやすいですが、呼吸困難、吸気や咳で悪化する胸膜痛、呼吸音の低下などがみられます。大量出血の場合は血行動態不安定や低容量性ショックを呈し、打診で濁音、語音でエゴフォニーが認められることがあります。
診断
胸膜腔内の液体を検出する第一選択は超音波検査です。液体の性状(漏出性か滲出性か)も画像である程度判断できます。胸部X線も有用ですが、微小な胸膜液は超音波に劣ります。胸膜液の原因を特定するために診断的胸腔穿刺を行い、液体検査を実施します。悪性胸膜液の場合は胸鏡検査で診断と排液を同時に行うことがあります。
治療・管理
胸膜出血の根本原因を除去・治療することが最優先です。大量出血で血行動態が不安定な場合は輸血や輸液でショックを管理し、必要に応じて胸腔ドレナージを行います。悪性胸膜液の場合は胸鏡下での排液や化学療法・放射線療法が検討されます。
鑑別点
胸膜出血は胸膜腔に血液がたまる状態であり、胸膜液が主に水分である胸膜滞留とは区別されます。胸膜滞留は水様性・滲出性のバランス異常や炎症・感染が主因です。
