貧血の臨床症状と診断のポイント
貧血は赤血球やヘモグロビンの量が正常より低下し、全身への酸素供給が不足する状態です。その結果、倦怠感や慢性的な疲労感が現れます。ヘモグロビンは鉄を含むタンパク質で、貧血の診断や治療に重要な指標となります。以下に、貧血でよく見られる臨床症状をまとめました。
黄疸
溶血性貧血では赤血球が異常に破壊され、ヘモグロビンの分解産物であるビリルビンが肝臓で十分に処理されません。そのため、皮膚や眼球が黄染し、尿が濃い茶色になることがあります。放置すると命に関わることがあるため、早期の診断と治療が必要です。
口角炎
口角部に炎症が起こり、ひび割れや浅い潰瘍が生じます。これは鉄欠乏性貧血に伴う症状で、二次的に真菌感染が起こると症状が悪化します。
舌炎
鉄欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血のいずれかが原因で舌が腫れ、痛みを伴うことがあります。重症例では気道が狭くなり、緊急の医療処置が必要になることもあります。
脾腫
脾臓が肥大する状態を脾腫(splenomegaly)と呼びます。腹部痛や脾臓破裂を引き起こすことがあり、慢性溶血性貧血、白血病、リンパ腫、門脈圧亢進症などの合併症を示唆します。
前頭突出
前頭部が突出して見える状態で、特に鎌状赤血球症の乳児にみられます。鎌状赤血球は寿命が約20日と短く、正常な赤血球(約120日)に比べて早く死滅し、貧血が急速に悪化し、危機的状態に陥ります。
神経症状
悪性貧血(ビタミンB12欠乏性貧血)などでは、診断前に歩行不安定、バビンスキー反射陽性、嗅覚障害、四肢のしびれ、記憶障害、性格変化などの神経症状が現れることがあります。胃の内因子が不足し、ビタミンB12の吸収が阻害されることが原因です。
