ウイルス性脳炎とは何か
概要
ウイルス性脳炎は、脳の炎症を指します(脳や脊髄を覆う膜の炎症である髄膜炎とは異なります)。主にウイルス感染が原因ですが、ライム病やトキソプラズマ症などの細菌・寄生虫感染でも起こります。ヘルペス単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス(水痘ウイルス)、エプスタイン・バーウイルス(モノ核球症ウイルス)などが知られていますが、これらから脳炎になるケースは稀です。西ナイルウイルスのように蚊やダニを介して感染するウイルスも多数あります。
リスク要因
蚊やダニが媒介する感染症が多い地域に住んでいると、脳炎にかかるリスクが高まります。特に夏季に屋外で過ごす時間が長いほど、蚊やダニに刺される機会が増えます。また、免疫機能が低下している人は重症化しやすく、子供や高齢者でも特定の脳炎が多く見られます。
症状
軽症の場合はインフルエンザ様の症状(頭痛、関節痛、発熱、倦怠感)にとどまり、自然に回復すれば脳炎に気付かないこともあります。重症化すると、幻覚、複視、性格変化、痙攣、筋力低下や麻痺、発疹、震えなどが現れます。これらの症状が出たら、速やかに医師の診察を受ける必要があります。
治療
軽症は安静、十分な水分補給、解熱鎮痛剤(例:アセトアミノフェン)で対処します。重症例では、痙攣を抑える抗けいれん薬や脳の腫れを抑える抗炎症薬が使用されます。ヘルペス単純ヘルペスや帯状疱疹ウイルスが原因の場合は、抗ウイルス薬(例:アシクロビル)が有効です。
合併症
重症脳炎から回復した後も、記憶障害や性格変化、倦怠感、歩行不安定などの後遺症が残ることがあります。うつ病や聴覚・視覚・言語障害が続くこともあり、これらは数か月から一年以上続く場合があります。言語療法や作業療法が回復を助けます。
予防
蚊やダニに刺されないようにすることが最も効果的です。住宅の網戸や窓の修理、周囲の溜まり水の除去(蚊の繁殖源)を行いましょう。外出時は長袖・長ズボンで肌を覆い、虫除けスプレーを使用します。観賞魚やコウモリなど、蚊の天敵となる生物を利用するのも一つの方法です。
