多発性硬化症(MS)の病変は脳でどのように見えるか?
多発性硬化症(MS)は中枢神経系に影響を及ぼし、神経線維を覆う脂肪性の白質ミエリン鞘が失われます。これを脱髄(デミエリン化)と呼び、炎症も伴います。患者自身の免疫系が誤って神経を攻撃することで病態が進行します。
症状
- 筋力低下、視力のぼやけ、異常感覚などが現れます。症状は変動したり再発したりします。
病変(プラーク)
- MS特有のプラークは、白質のどこにでも形成される複数の瘢痕です。これが症状の多様性を生みます。病変は放射線学的検査や死後の脳組織・生検で確認できます。
脳の画像診断
- 磁気共鳴画像法(MRI)はMSの診断・経過観察に最適です。高解像度の断層画像で、白質に楕円形の高信号(明るい)病変が確認できます。ガドリニウム造影剤を投与すると、最近の脱髄や活動性炎症と、長期の損傷を区別できます。
脳生検
- 診断のために脳生検が行われることは稀です。実施された場合、神経線維の構造は比較的保たれた早期病変が観察され、ミエリンの喪失や免疫細胞の浸潤、血管周囲の白血球・液体が認められます。
脳死体解剖
- 死体解剖では、長期間続いた病変が顕著に見られます。白質の減少と脳容積の縮小が進行し、肉眼では灰白色やピンク色の硬い領域(プラーク)が確認されます。顕微鏡下ではミエリンの破壊、軸索の喪失、炎症反応、星状膠細胞の変化が見られ、再髄鞘化(修復)領域も認められます。
