音響神経腫(聴神経腫)と髄膜腫の違いと概要
脳腫瘍とは、頭蓋骨や中枢脊髄管内に発生する異常な細胞増殖を指します。良性腫瘍である音響神経腫や髄膜腫でも、頭蓋内の狭い空間にできるため、生命に関わる危険性があります。
発生部位
音響神経腫は、主に頭蓋の側頭骨にある第八脳神経(蝸牛神経)が通る内耳道付近で発生します。一方、髄膜腫は脳や脊髄を覆う髄膜から発生し、頭蓋内全体にできることがあります。
主な症状
- 音響神経腫:聴力低下、耳鳴り、平衡感覚の変化が初期症状です。進行すると頭痛、歩行障害、疼痛、しびれ、顔面筋力低下などが現れます。
- 髄膜腫:最も頻出する症状は発作です。腫瘍の位置により、頭痛、筋力低下、意識障害、性格変化、視覚障害、聴力低下など多様な症状が出ます。
診断方法
両疾患とも成長が遅く症状が軽微なため診断が難しいですが、磁気共鳴画像(MRI)が標準的な診断手段です。
治療方針
腫瘍の大きさや症状、患者の年齢・全身状態に応じて治療が選択されます。
- 小さく症状が軽い場合は経過観察が推奨されます。
- ステレオタクティック放射線手術(SRS)は、腫瘍細胞に正確に放射線を照射し増殖を抑える低侵襲治療です。
- 従来の開頭手術は、全身麻酔下で腫瘍をできるだけ除去し、症状の緩和を目指します。
- 髄膜腫に対しては、化学療法が補助的に用いられることがありますが、手術やSRSが主な治療です。
発生率
音響神経腫は10万人あたり約2人、主に30〜60歳の成人に見られます。髄膜腫は10万人あたり約7.8人で、40〜70歳の人に多く発生します。
予後
音響神経腫はほぼすべてが良性で、髄膜腫も約90%が良性です。適切な治療により、ほとんどの患者で症状は改善し、長期的な予後は良好です。
