開心手術とは
概要
米国では毎年50万人以上が心臓手術を必要と診断され、その多くが開心手術です。開心手術は長年にわたり実績が積み重ねられ、安全に行われるようになっています。
手術の概要
開心手術では胸腔を開いて心臓にアクセスします。手術の種類によっては心臓自体を開くこともあります。従来の方法では心肺バイパス装置に患者をつなぎ、血液の循環・酸素供給・二酸化炭素除去・麻酔薬の投与を行います。近年はバイパス装置を使用しない手術も増えてきましたが、依然として「開心手術」と呼ばれます。
適応例(手術の種類)
開心手術は多様な心臓疾患に対して行われます。主な例は以下の通りです。
- 先天性欠損の修復
- 弁置換・弁修復
- 冠動脈バイパス術(CABG)
- 心臓移植
- 動脈閉塞の除去
- 血管形成術(アンジオプラスティ)
手術の流れ
従来の開心手術では、胸部正中に切開を入れ、胸骨を開いて心臓に到達します。心臓は停止させ、心肺バイパス装置により全身へ血液を供給しながら手術を行います。手術は通常6時間以内に完了させ、時間が長くなると体への負担が増します。
手術後は集中治療室で数時間から数日間、心機能の確認が行われます。全体の入院期間は約1週間程度です。胸部にドレーンが設置されることがあり、数日後に抜去します。術後の回復には1か月以上かかることもあり、徐々に日常生活へ戻ります。
低侵襲代替法
近年、侵襲を抑えた手術法が次々に開発されています。
- オフポンプ冠動脈バイパス術(OPCAB)― 心肺バイパス装置を使用せず、心臓が拍動したままバイパスグラフトを縫合します。
- 最小侵襲直接冠動脈バイパス術(MIDCAB)― 胸骨を小さく切開し、1~2本の冠動脈のみをバイパスします。
- ロボット支援冠動脈バイパス術(RACAB)― ロボットアームを用いて遠隔操作で手術を行い、切開は最小限に抑えます。
術後の留意点
従来の開心手術を受けた場合、術後数週間は食欲が低下し、睡眠障害が起こりやすいです。心肺バイパス装置に接続した影響で一時的な記憶障害や認知機能の低下が見られることがあります。脚から採取した血管移植(Saphenous vein graft)を使用した場合は、脚の腫れや疼痛が数週間続くことがあります。また、術後最低1か月は運転を控えるよう指示されます。低侵襲手術は回復が速いものの、患者の状態や手術対象により適応が限られます。
