動物が媒介する代表的な疾患一覧
家畜や野生動物はさまざまな感染症の宿主となります。野良動物を保護した場合は、速やかに獣医師の診察を受けましょう。また、子どもには死んだ動物や野生動物に触れないよう指導してください。以下では、狂犬病以外で人に感染する主な動物由来疾患と、その予防・対処法を紹介します。
牛海綿状脳症(BSE)
牛海綿状脳症は、別名「狂牛病」とも呼ばれ、牛の中枢神経系を攻撃するプリオン感染症です。1990年代に英国で大規模な発生が報告され、感染肉や骨粉を餌に与えることが主因とされています。現在も治療法はなく、感染した牛肉を摂取した人は稀にクルツフェルト・ヤコブ病という致死性の脳障害を発症します。
猫ひっかき熱(Cat Scratch Disease)
猫ひっかき熱は、Bartonella henselaeという細菌が原因で、猫の爪や口腔内に常在します。猫の約40%が一生のうちにこの細菌を保有します。人がひっかきや噛み傷で感染すると、リンパ節の腫れ、発熱、頭痛、倦怠感、食欲不振などの症状が現れます。傷口は石鹸と水で十分に洗浄し、抗菌軟膏を塗布してください。傷が腫れや膿を伴う場合は医師の診察が必要です。
ライム病
ライム病はBorrelia burgdorferiというスピロヘータが原因で、主にマダニに刺されることで感染します。人だけでなく、馬や犬、猫などの哺乳類も感染対象です。初期症状は発熱、筋肉痛、頭痛などのインフルエンザ様症状で、2週間以内に「ブルズアイ」様の紅斑が現れることがあります。予防には、森林や草むらで長袖・長ズボンを着用し、虫除けを使用することが推奨されています。
黒死病(ペスト)
黒死病はYersinia pestisという細菌が原因で、歴史的に中世ヨーロッパで大量死者を出したことで知られています。現在でも米国で年間10〜15例、世界全体で1,000〜3,000例が報告されています。主な媒介は野生のげっ歯類とそれに寄生するノミです。早期に抗生物質治療を受ければ完全回復が期待できますが、治療が遅れると致死率が高まります。主な症状は発熱、寒気、筋肉痛、頭痛、壊死、鼻・肛門・口からの出血、肺炎様の呼吸器症状などです。
