フックワーム(鉤虫)症の概要と対策

分布

フックワーム(鉤虫)Ancylostoma duodenale と Necator americanus は、温暖で湿度の高い地域に広く分布しています。特に衛生環境が悪く、人糞が土壌の肥料として使用される地域で大規模な流行が起こります。糞便中の卵は土壌に放出され、そこから幼虫が孵化します。20世紀後半、米国南東部でも大規模な流行がありましたが、現在はほぼ制御されています。

感染経路

卵自体は感染性がありませんが、孵化した幼虫は皮膚を通して体内に侵入します。幼虫は皮膚に付着した土壌に触れたとき、または汚染された土を誤って口に入れたときに感染します。皮膚から侵入した幼虫は血流で肺へ移動し、呼吸器を経由して咽頭へ、最終的に小腸に到達します。小腸に到達した幼虫は約1週間で成虫(約1.3cm)へ成長し、腸壁に付着して血液を吸引し、様々な症状を引き起こします。

リスクが高い人

土壌に頻繁に接触する人は特にリスクが高いです。特に人糞が混入した土壌や、裸足で歩く習慣がある人は注意が必要です。子どもは土遊びや裸足での活動が多く、感染しやすい環境にあります。感染は土壌を介した接触が主な経路であり、直接の人と人との接触で感染リスクが高まることはありません。

症状

米国疾病予防管理センター(CDC)によると、最初の症状は皮膚がかゆくなり、発疹が出ることです(幼虫が皮膚に侵入した部位)。軽度の感染では腹痛や軽い下痢にとどまりますが、重度の感染では貧血、激しい腹痛、頻繁な下痢、食欲不振、倦怠感、運動時の呼吸困難、著しい体重減少が見られます。長期にわたる重度感染は成長障害や脳発達遅延、最悪の場合はうっ血性心不全を引き起こすことがあります。

治療・予防

症状が疑われる場合は医療機関で糞便検査を受け、卵の有無で診断します。治療は医師の処方する駆虫薬(例:アルベンダゾール、メベンダゾール)を1〜3日間服用するだけで完了し、副作用は少ないとされています。貧血が併発している場合は鉄剤の投与が必要です。治療後は再度糞便検査を行い、感染が除去されたことを確認します。予防策としては、土壌への直接接触を避けることが最も有効です。作業時は靴や手袋などの保護具を着用し、裸足や裸手で土に触れないようにしましょう。

2002年の推計では、世界で約13億人がフックワームに感染しているとされています。

疾病 - 関連記事