コンタクトレンズに関するトラブルと対策
コンタクトレンズは視力矯正に便利ですが、装着方法やケアが不適切だと眼全体にさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。本稿では、眼科医の研究結果をもとに、アレルギー反応、擦過傷、低酸素症、感染症、その他の稀な合併症について解説し、予防と対処法を紹介します。
アレルギー反応
コンタクトレンズ用の保存液に含まれる化学物質に対するアレルギーは、赤み、腫れ、目やになどの症状を引き起こすことがあります。保存液を別のものに変えるか、局所ステロイド点眼を行うことで症状は軽減します。
まれに保存液の防腐剤が免疫反応を誘発し、角膜全体に灰白色の小粒子が現れることがあります。これは「コンタクトレンズ誘発上肢角結膜炎(CL‑SLK)」と呼ばれ、結膜が肥厚し染色、灼熱感、痒み、涙、視力低下を伴います。
また、1〜3%の使用者に見られる「巨大乳頭結膜炎」は、レンズ表面に蓄積した沈着物が免疫反応を引き起こすことで発症します。定期的なレンズ洗浄と交換、装着時間の短縮が予防策です。
擦過傷(アブレッション)
瞬きで異物を除去する眼の自然な機構が、レンズと角膜上皮の摩擦により妨げられ、細菌が侵入しやすくなります。レンズの装着・取り外し時にも、レンズ下に溜まったゴミが角膜を削ることがあります。特にソフトレンズはハードレンズに比べてこのリスクが高いです。
低酸素状態(低酸素症)
コンタクトレンズは角膜に届く酸素量を減少させ、低酸素症を引き起こします。酸素不足は角膜の腫脹やぼやけた視界をもたらし、重症例では細胞死に至ります。寝ている間に装着した場合、眼瞼が閉じているため酸素供給がさらに阻害されます。
酸素透過性の高い薄型レンズやシリコーンハイドロゲルレンズを選ぶことでリスクは低減しますが、長期装着により角膜感覚が鈍くなり、上皮が薄くなることで細菌感染のリスクが増大します。
細菌感染
コンタクトレンズ使用者で最も深刻なのは感染性角膜炎です。レンズが眼瞼の拭き取り作用を妨げ、涙による洗浄が不十分になるほか、上皮細胞の自然な剥がれ落ちも抑制されます。その結果、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis などが増殖しやすくなります。
米国の統計では、日中装着者は2,500人に1人、夜間装着者は500人に1人が感染性角膜炎を発症します。また、保存液が汚染されているケースや、飲料水や水道水でレンズを洗浄した際に起こるアカントアメーバ角膜炎も報告されています。
その他の問題
稀にハードレンズが眼瞼に埋まることがあります。長年の装着・取り外しで眼瞼が伸び、レンズ縁が炎症を起こすことが原因です。
「タイトレンズ症候群(急性赤眼症)」や「角膜変形(コーネルワーピング)」も報告されています。タイトレンズはレンズが過度に眼に密着し、炎症・痛み・涙を伴います。角膜変形はハードレンズ使用者に多く、角膜の形状が徐々に変化します。
