閉経期におけるてんかん:ホルモン変動と治療のポイント

閉経は健康な女性にとっても大きな変化ですが、てんかんを抱える女性にとってはホルモンバランスの変化が発作に影響を与えるため、特に注意が必要です。

研究の不足

これまでの研究は主に妊娠可能年齢のてんかん患者に焦点が当てられてきました。近年、閉経期の女性や閉経後に初めて発作を経験する女性に対する研究が徐々に増えてきています(Epilepsy.com)。

ホルモンの役割

エストロゲンとプロゲステロンは発作に直接関与します。排卵時に分泌されるプロゲステロンは発作頻度を抑制する効果があり、一方でエストロゲンは発作を誘発しやすくします。閉経・閉経前期ではホルモンの変動が激しくなるため、発作リスクが増加することがあります。卵巣の機能が停止するとプロゲステロンの分泌が止まり、発作を抑えるホルモンが不足する状態になります。

発作頻度の変化

閉経に伴い発作が減少する女性もいれば、逆に増加する女性もいます。個人差が大きく、症状は一概に言えません。また、てんかん患者は閉経が一般女性に比べて約10年早く訪れることが報告されています。月経周期に連動して発作が増える「月経関連発作(catamenial seizures)」を持つ女性は、閉経後に発作が減少するケースが多い一方、閉経前期(peri‑menopause)では発作が増える傾向があります。

ホルモン補充療法(HRT)の選択

一部のてんかん患者はHRTで症状が改善することがありますが、乳がんや心血管疾患のリスク増加も指摘されています。エストロゲン単独のHRTは発作頻度を上げる可能性があるため、プロゲステロン(プロゲスチン)を併用したエストロゲン・プロゲステロン併用療法が推奨されます(Epilepsy Foundation)。

骨の保護

発作時の転倒は骨折のリスクを高めます。HRTは骨密度の低下(骨粗鬆症)を抑制する効果があるため、転倒リスクがあるてんかん患者にとって骨の保護に有用です。

薬剤と骨代謝

てんかん治療薬の中には骨密度を低下させるものがあります。代表的な薬剤はテグレトール(カルバマゾール)、ジラント(フェニトイン)およびフェノバルビタールです。これらを服用している場合は、ビタミンDとカルシウムを十分に摂取し、定期的な運動で骨を強化することが重要です。

加齢と薬剤調整

加齢に伴い薬物代謝や分布が変化するため、発作予防薬の用量や種類を見直す必要があります。主治医と定期的に相談し、血中濃度や副作用をチェックしながら最適な治療プランを構築してください。

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