オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ(OTC)とは何か
オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ(OTC)は、肝臓のミトコンドリアに存在し、尿素回路で中心的な役割を果たす酵素です。オルニチンとカルバモイルリン酸を結合させ、シトルリンとリン酸を生成します。X連鎖劣性遺伝によるOTC欠損症は、アンモニアの蓄積を招き、神経障害や昏睡、最悪の場合は死亡に至ります。
重要性
哺乳類では、タンパク質の分解やエネルギー不足時に生じるアンモニアを尿素に変換する尿素回路の重要な構成要素です。アンモニアは神経に対して極めて毒性が高く、回路に欠陥があると致命的な影響を及ぼします。植物や微生物でも同様の酵素が存在し、アルギニン合成に関与しています。
機能
OTCは触媒として働き、反応自体には変化しません。肝臓ミトコンドリア内でオルニチンとカルバモイルリン酸を結合させ、シトルリンとリン酸を放出します。この反応はアンモニアがカルバモイルリン酸に変換された後の最初期段階にあたり、酵素欠損は高アンモニア血症(高アンモニア血中濃度)を直接引き起こします。
構造的特徴
OTCはトリマー構造をとり、同一のモノマーが3つ集まってできています。各モノマーはカルバモイルリン酸結合部位とアミノ酸結合部位を持ち、トリマーの中心部に活性部位が配置されています。酵素名はその結合機能に由来し、構造そのものを示すものではありません。
留意点
OTC欠損症は約8万人に1人の頻度で発生する稀少遺伝性疾患です。重症例では出生後1日ほどで症状が現れ、迅速な診断が行われない限り1週間以内に死亡します。軽症例は発症が遅く、診断の余地が広がりますが、早期発見が予後改善に重要です。
予防・治療法
重症例に対しては根本的な治療法が限られますが、軽症例や女性キャリアに対しては肝移植が高アンモニア血症の再発防止に有効です。また、近年の遺伝子治療研究が将来的な根治の期待を高めています。
