歴史

心臓除細動の技術と手法は、1899年にスイスの生理学者2名が犬の異常心拍を電気パルスで正常に戻すことを初めて示したことに端を発します。1947年には開胸手術中に人間へ初めて適用され、当時は電極パドルを直接心臓に当てる必要がありました。1950年代には、1,000ボルト以上の電圧を使用すれば胸腔を開かずに正常リズムを回復できることが判明し、1960年代には携帯型除細動器が登場しました。

機能

心臓除細動器は、心房細動や心室頻拍といった不整脈時に心拍を正常リズムに戻すために使用されます。心房細動では心室の収縮が不規則になり血液を十分に送り出せません。心室頻拍では心室が過度に速く収縮し、脈が測れなくなることがあります。除細動器は電気ショックを与えることで正常な心拍を再開させます。装置は約30秒で電荷を蓄え、胸部に装着したパッドを通じてショックを送ります。

種類

外部除細動器は手動式と自動式に分かれます。手動式は医療従事者が適切な電圧を判断して使用します。一方、自動外部除細動器(AED)は心電図を自動解析し、必要なショックの有無と電圧を判断してくれます。半自動式除細動器は心拍モニターと手動オーバーライド機能を備えています。さらに、体内に埋め込むインプラント除細動器(ICD)もあり、常時心拍を監視し、必要に応じてショックを自動的に投与します。

利点

除細動器は正常な心拍を回復させ、患者の生命を延長することができます。そのため、心停止が必ずしも死亡につながるわけではなくなります。インプラント除細動器は緊急時に即座にショックを与えるため、救急医療の到着を待つ必要がありません。AEDは非医療従事者でも操作できるよう設計されており、デバイスが自動で必要な処置を判断します。心停止時の迅速な対応は数分以内の生存率に直結するため、除細動器の早期使用は極めて重要です。

誤解

除細動器に関する誤解は映画やテレビでよく取り上げられます。例えば、除細動後に患者が激しく痙攣するシーンがありますが、実際には軽い筋肉の痙攣程度で大きく動くことはほとんどありません。また、フラットライン(心電図が平坦)になった患者に除細動器で脈を取り戻す描写がありますが、除細動は心臓が完全に停止した(無電活動)状態では効果がなく、心拍を再開させる手段ではありません。