UKALL 2003 プロトコル(小児急性リンパ性白血病)
UKALL 2003 プロトコルとは
UKALL 2003 プロトコルは、オックスフォード大学医学センターで実施されている小児急性リンパ性白血病(ALL)の個別化治療です。ALLは小児がん全体の25%、小児白血病の75%を占め、主に2〜5歳で発症します。本プロトコルの目的は骨髄寛解を得ることで、ほとんどの患者で達成されています。
診断と治療の流れ
診断は血液検査と骨髄穿刺で行い、血球数や骨髄の結果を基に各患者に最適な治療計画を立てます。使用薬剤はビンクリスチン、プレドニゾロン/デキサメタゾン、L-アスパラギナーゼ、ダウノマイシンの4種類です。治療開始から28日後に再度骨髄穿刺を行い、寛解の有無を確認します。
臨床データ(例)
米国国立衛生研究所の報告によると、2〜12歳の38例のうち、平均年齢5.4歳の男子が68%(26例)でした。治療開始28日後、完全寛解は74%(28例)、部分寛解は2例、寛解しなかった例は1例でした。化学療法中の好中球減少に伴う敗血症で死亡した例は18%(7例)で、感染管理の重要性が示されています。
使用薬剤の概要
ビンクリスチン
ビンクリスチンは静脈内投与専用で、漏出すると皮膚や筋肉に損傷を与える可能性があります。がん細胞の増殖を阻止しますが、感染症や血液異常、肝臓・筋肉障害などがあると副作用が増強します。主な副作用は便秘、脱毛、吐き気・嘔吐、めまい、膀胱障害など。重篤な症状としては発疹、呼吸困難、むくみ、発熱、聴覚・視覚障害、筋力低下、しびれ、歩行困難などがあります。十分な水分摂取と定期的な検査が推奨されます。
アスパラギナーゼ、プレドニゾロン/デキサメタゾン、ダウノマイシン
アスパラギナーゼは大腸菌由来で、医師の管理下で点滴投与されます。稀に急死という重篤な副作用が報告されています。
プレドニゾロンは他の化学療法薬の毒性を軽減するステロイドで、1 mg・5 mgの錠剤(腸溶錠ではない)を1日2回(最大40 mg)投与します。副作用には肥満、体液・ナトリウム貯留、高血圧、糖尿病様症状、情緒不安定、壊死などがあります。デキサメタゾンは0.5 mg・2 mg錠または液剤で、1日2回(6 mg〜10 mg)投与します。
ダウノマイシンは無菌水に溶解した粉末を注射で投与します。
まとめ
UKALL 2003 プロトコルは、個別化された多剤併用化学療法により高い寛解率を実現していますが、感染症や薬剤副作用の管理が治療成功の鍵となります。
