鉄過剰症の合併症と対策

鉄過剰症(遺伝性ヘモクロマトーシス)は、体が鉄を過剰に吸収し、失う量よりも多く蓄積する遺伝性疾患です。主に白人男性で約240人に1人の頻度で発症し、肝臓、心臓、膵臓、性腺などに鉄が沈着して臓器障害を引き起こします。疑いがある場合は、速やかに医師の診断を受けましょう。

鉄過剰症の遺伝学

この疾患は常染色体劣性遺伝で、両親から異常なHFE遺伝子をそれぞれ受け継いだ場合に発症します。片方だけの保因者では症状は出ません。

診断方法

血清フェリチンやトランスフェリン飽和度の測定により、早期に異常が検出されます。遺伝子検査や、異常遺伝子を持つ親の子どもへの定期的なスクリーニングも行われます。症状は通常、成人後期に現れます。

主な合併症

鉄が蓄積する主な臓器と合併症は以下の通りです。

  • 肝臓:肝硬変や肝細胞癌のリスク増大
  • 心臓:心不全や不整脈、心筋症
  • 膵臓:β細胞障害により糖尿病が発症
  • 性腺:男性では勃起不全や精巣萎縮、女性では月経異常や不妊

治療が遅れると、これらの合併症が進行し、最悪の場合は死亡に至ります。

治療法

鉄の総量を減らすことが根本的な治療です。主な方法は以下の2つです。

  • 瀉血(フェロサリシス):一定間隔で血液を採取し、体内の鉄を減少させます。重症度に応じて、1〜4週間ごとに実施します。
  • 食事療法:鉄分の多い赤肉やレバー、ビタミンCの過剰摂取を控え、鉄吸収を抑える食事を心がけます。

根本的な治癒法はなく、長期的な管理が必要です。

男女の症状差

男性は40代から50代にかけて症状が顕在化しやすく、女性は月経や授乳による鉄の喪失があるため、症状が出るのは約15〜20年遅れます。

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