頭蓋神経損傷がもたらす顔と目の症状
脳幹の橋と延髄の間から分岐する第七脳神経(顔面神経)は、表情筋の動きを制御し、舌や口からの味覚情報を伝える重要な神経です。損傷が起こると、主に顔と目にさまざまな症状が現れます。医療処置の合併症、腫瘍、感染症などが原因となります。
顔面変形(ベル麻痺)
顔面神経(VII)の炎症が原因で、約75%のケースで顔面変形が起こります。特に糖尿病患者に多く見られ、一般に「ベル麻痺」と呼ばれます。症状は片側の口角が下がる、唾液がたまりやすい、目から過剰に涙が出るなどです。舌の前方と同側の味覚が失われることもあります。多くは治療で改善しますが、約20%は後遺症が残り、高齢者は完全回復しにくい傾向があります。
光過敏症
日差しやアレルギー、片頭痛などでも光に過敏になることがありますが、症状が数日以上続く場合は神経の感染や炎症が疑われます。顔面神経または視神経の感染は、眼の腫れ、赤み、過剰な涙とともに光過敏を引き起こします。これらの症状があるときは速やかに医師の診察を受けることが重要です。
味覚変化
顔面神経は舌と口腔の味覚受容体の半分以上を支配しています。そのため神経が損傷すると、甘味や辛味などの味が薄く感じられたり、前二分の舌で味覚が全く失われることがあります。特にベル麻痺の患者に多く見られ、味覚の変化が最初の兆候になることは稀です。
瞬き障害
神経経路が遮断されると、遮断部位以下の筋肉が正常に機能しなくなります。結果として眼瞼が完全に閉じなくなる(まばたきができない)または部分的にしか閉じないことがあります。これらは神経感染や脳卒中のサインとされ、放置すると深刻な合併症や生命に関わる危険が生じることがあります。
