手根管症候群(カルパル・トンネル症候群)と手術治療
手根管症候群は、手首にある正中神経が圧迫されることで起こる痛みを伴う進行性の疾患です。圧迫を解除すれば症状は改善しますが、重症例では手術が必要になることがあります。米国手外科学会でも「手根管開放術(Carpal Tunnel Release Surgery)」が標準的な治療法として紹介されています。
症状
- 指先や手のひらにチクチク、灼熱感、しびれが徐々に現れる。
- 指が腫れたように感じ、握力が低下し、小さなものを掴むのが困難になる。
- 放置すると親指の付け根の筋肉が萎縮し、機能低下が進行することもある。
診断
- 肩・首・腕・手の触診や動作チェックで症状の原因を探ります。
- ティネルテスト、ファーレンテストなどの特異的な診断法を実施。
- 神経伝導速度検査(NCS)や筋電図(EMG)などの電気診断で正中神経の圧迫を客観的に評価。
治療
まずは手首と手を約2週間安静にし、症状の悪化を防ぎます。保存的治療が効果を示さない場合は、外科的治療が検討されます。
非手術的治療
- 鎮痛・抗炎症薬(アスピリン、イブプロフェン等)で短期的な痛みを緩和。
- 利尿剤でむくみを軽減、ステロイド(プレドニン)を経口または局所注射で正中神経の圧迫を緩和(医師の処方が必要)。
- 握力強化やストレッチのリハビリ運動で症状が軽い場合に有効。
- カイロプラクティックや鍼灸など代替療法も一部で効果が報告されています。
手術的治療
症状が6か月以上続く、または保存療法で改善が見られない場合に手術が推奨されます。手術は正中神経の圧迫を取り除くため、手根管の靭帯(横靭帯)を切開します。
主な手術法は2つあります。
- 開放手術(Open Release):手首に約5cmの切開を入れ、横靭帯を切除して手根管を広げます。局所麻酔下で日帰り手術が一般的です。
- 内視鏡手術(Endoscopic Release):手のひらと手首に約0.5cmの小さな切開を2か所作り、カメラと専用器具で靭帯を切断します。切開が小さいため痛みが少なく、回復が早いとされています。
いずれの手術も局所麻酔で行われ、術後はリハビリを通じて握力や手の機能回復を目指します。
