デミエリン化が引き起こす記憶喪失
神経細胞(ニューロン)
ニューロンは中枢・末梢神経系の主要細胞で、電気インパルスを全身へ伝達します。このインパルスが筋肉の収縮や心拍、記憶の形成に関与します。電線の絶縁体が必要なように、ニューロンを覆う絶縁体としてミエリンというタンパク質があります。
記憶とミエリン
記憶は脳内のニューロンに化学的・電気的信号として保存されます。正確なメカニズムは完全には解明されていませんが、ニューロンが損傷すると記憶が失われることは明らかです。特にミエリンが剥がれる(脱髄)と、記憶に必要な信号が正しく伝わらず、記憶が失われます。
脱髄を引き起こす主な疾患
代表的な脱髄性疾患には以下があります。
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は主に筋肉の運動ニューロンのミエリンを攻撃します。
- 多発性硬化症(MS)は自己免疫がミエリンを破壊し、瘢痕組織と信号の誤作動を引き起こします。
- アルツハイマー病でも類似したメカニズムが関与すると考えられています。
- 脳震盪などの機械的外傷もミエリンを損傷し、記憶障害や運動障害を招くことがあります。
記憶喪失のタイプ
ミエリンが失われると感覚からの信号が乱れ、記憶が失われます。
- 短期記憶障害:新しい情報を記憶できず、最近の出来事を忘れますが、自己認識や過去の記憶は残ります。
- 長期記憶障害:過去の出来事や自分自身に関する情報が失われ、名前や日常的な作業すらできなくなります。
その他の神経疾患と記憶障害
ミエリンの脱落以外にも記憶障害を引き起こす要因があります。
- 精神性の疾患(心理的要因)
- 鎮静剤や抗精神病薬などの薬剤
- 脳炎や髄膜炎などの感染症でニューロンが損傷または死滅する場合
