対麻痺(下半身麻痺)に伴う困難とは?
特徴
対麻痺は脊髄損傷により下半身の感覚と運動が部分的または完全に失われる状態です。腕や手の機能は保たれますが、排尿・排便障害や男性の不妊などの二次的症状も見られます。脊髄は頸部・胸部・腰部・仙骨部の4つの領域に分かれ、対麻痺は胸部以下、特に胸椎から腰椎にかけての損傷で起こります。
重要性
感覚・運動障害に加えて、床ずれ、骨粗鬆症、痙縮、肺炎、深部静脈血栓症(DVT)などの合併症リスクが高まります。また、神経障害性疼痛を伴うこともあります。
タイプ
損傷部位や範囲により以下のような症候群に分類されます。
- 中心性脊髄症候群:脊髄の中心部が損傷し、腕の機能が失われます。回復はまず下肢から始まり、次第に上肢へと進みます。
- 前方脊髄症候群:脊髄前方が損傷し、痛覚・触覚・温度感覚が失われますが、一定の運動回復が期待できます。
- 後方脊髄症候群:脊髄後方が損傷し、痛覚・温度感覚は保たれます。運動機能は概ね維持されますが、協調性に問題が生じることがあります。
- 馬尾症候群(Cauda Equina):腰部の馬尾神経が損傷し、感覚・運動が部分的または完全に失われます。神経が再生すれば完全回復も可能です。
- ブラウン・シェアード症候群:脊髄の片側が損傷し、損傷側の運動が失われ、痛覚・温度感覚は残ります。反対側は感覚が失われますが運動は保たれます。
予防・対策
- 深部静脈血栓症は致命的になることがあるため、早期に機械的圧迫装置や抗凝固薬を使用し、家族にも血栓の兆候を教えることが重要です。
- 床ずれは2時間ごとに体位変換し、適切な失禁ケアと専用マットレス(羊皮や低反発)を使用して予防します。
- 脊髄損傷者は筋力低下と体重負荷が減少するため骨粗鬆症が進行しやすく、関節可動域訓練やリハビリ機器の使用で骨密度維持を図ります。
- 肋間筋と腹筋が麻痺すると呼吸が浅くなり肺炎リスクが上がります。打撃療法や呼吸リハビリ、腹部ベルトの使用で肺活量を保ちます。
留意点
遺伝性痙性対麻痺(HSP)は約30種類の遺伝性神経疾患の総称で、下肢の進行性筋力低下が特徴です。現在のところ根本的な治療法はありませんが、リハビリと症状管理が重要です。
