呼吸が苦しくなる生理的理由

呼吸が苦しくなる主な原因は、喉・肺・横隔膜といった呼吸器の主要な器官の機能を阻害する疾患です。気道が開いていて横隔膜が自由に動き、肺が十分に膨らみ収縮でき、酸素が肺胞へ効率よく取り込めると呼吸は楽になります。これらのいずれかが障害されると、呼吸は困難になります。

上部気道の閉塞

  • 鼻や口から吸い込んだ空気は、まず喉、声帯、気管を通ります。ここに閉塞が起きると、浅い呼吸や窒息が起こります。食べ物が喉に詰まるほか、気管の粘膜が炎症を起こす「上気道炎」や、アレルギー反応による喉の腫れ、扁桃腺や咽頭の膿瘍などが原因となります。

横隔膜の機能低下・肺の閉塞

  • 横隔膜は肺の下にある筋肉で、収縮すると下がり、胸腔が拡がって空気が流入します。逆に拡張すると上がり、胸腔が狭まり空気が排出されます。肺に空気が閉じ込められる閉塞性疾患は横隔膜の動きを制限し、呼吸が苦しくなります。代表的な疾患は嚢胞性線維症、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支拡張症、肺気腫などです。

肺の容量低下・硬化

  • 肺の容積が時間とともに減少すると、吸気時に十分に膨らまず呼吸が困難になります。肺や胸壁が硬くなる、横隔膜が弱まる、神経系が障害されるなどが原因です。脊柱側弯症、肺線維症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、関節リウマチ、間質性肺疾患、肥満、珪肺、サルコイドーシス、硬皮症、筋ジストロフィー、全身性エリテマトーデス(SLE)、石綿肺などが挙げられます。

胸膜腔への液体貯留(胸水)

  • 胸膜腔に液体がたまると肺の伸展が阻害され、容量低下と同様に呼吸が苦しくなります。血管からの漏出や胸膜の炎症が原因です。リンパ腫、メグ症候群、肝腎不全、うっ血性心不全、SLE、乳癌・肺癌、肺炎、結核、腹水、悪性中皮腫などが関連します。

肺胞の水分貯留(肺水腫)

  • 肺胞に液体がたまると空気の取り込みが妨げられ、呼吸が困難になります。気管支炎や肺炎などの呼吸器感染が主な原因です。聴診で「クラックル音」が聞こえることがあります。細菌・真菌・ウイルスへの曝露がリスクです。また、心不全や動脈疾患、心筋症など心臓のポンプ機能低下により、血液中の液体が毛細血管から肺胞へ漏れ出すことでも肺水腫が起こります。

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