小児における尿路感染症の概要と対策
定義
尿路感染症は、膀胱や腎臓など尿路のいずれかの部位に細菌が感染した状態を指します。膀胱が炎症を起こす場合は「膀胱炎(シスチティス)」、腎臓が炎症を起こす場合は「腎盂腎炎(ポリネフリティス)」と呼ばれます。小児の尿路感染症は、解剖学的な異常がない単純なものを「単純型」、異常が関与しているものを「複雑型」と区別します。また、初回感染か再発感染かでも分類されます。
症状
乳児や幼児の場合、症状は非特異的で見分けにくいことがあります。代表的な兆候は以下の通りです。
- 全身のイライラ感や泣きやむことが増える
- 嘔吐や体重増加不良(発育不良)
- 尿やおむつに異臭がある
- 発熱(必ずしも伴わない)
幼児以降になると、次のような症状が現れます。
- 排尿時の灼熱感やかゆみ
- 頻尿、残尿感
- 腹痛や背部痛
- 発熱(ある場合とない場合がある)
診断
尿路感染症の確定診断には尿検査が必要です。採取方法は以下の2種類が一般的です。
- 尿バッグ法:清潔なバッグを外陰部に装着し、自然排尿を待ちます。男児では比較的汚染が少ないですが、女児では汚染リスクが高まります。
- カテーテル法:細いプラスチックチューブ(カテーテル)を尿道から膀胱まで挿入し、直接尿を採取します。確実なサンプルが得られますが、侵襲的です。
採取した尿は、診療所で迅速な尿検査(尿沈渣・白血球エステラーゼ)を行い、同時に培養検査のためにラボへ送ります。培養で細菌が増殖すれば感染が確認されます。
治療
単純かつ初回の尿路感染症では、通常5〜7日間の経口抗生物質が処方されます。複雑型や再発例では、治療期間が延長されることがあります。治療開始後3〜4日で症状が改善しない場合は、速やかに医師に連絡してください。抗生剤コース終了後、再度尿検査を行い感染が消失したことを確認します。
再発感染
小児で尿路感染症が繰り返す場合、尿路の構造的異常が疑われます。医師は以下の検査を提案することがあります。
- 超音波検査(腎臓・膀胱の形態評価)
- 排尿時膀胱尿道造影(VCUG)
必要に応じて泌尿器科専門医への紹介や、低用量の予防的抗生物質(プロフィラキシス)を日常的に服用させる治療が行われます。
