歯冠セメントの種類と使い方
歯冠は、虫歯やひび割れなどで損傷した歯を覆う形状のキャップです。歯冠を歯に固定するために使用されるセメントは、粉末と液体を混合して作られます。歯冠セメントには、暫定的に使用するものと永久的に使用するものがあり、さまざまなタイプが存在します。
亜鉛リン酸セメント
亜鉛リン酸セメントは、水性の古典的なセメントで、歯冠を永久的に固定する際に広く用いられます。粉末と液体を混合すると発熱反応が起こるため、約68℃の冷たい乾燥した厚手のガラス板上でスパチュラを使って混合します。
また、深い腔内の処置では熱ショックから歯を保護する目的でも使用されます。液体成分に含まれるリン酸は歯髄を刺激する可能性があるため、使用前に脱感作剤で歯髄を保護することが推奨されます。
亜鉛酸化物エウジェノールセメント
油性の亜鉛酸化物エウジェノールセメントは、暫定的にも永久的にも歯冠を固定できます。液体が紙パッドに吸収されないよう、油に強い紙パッド上で混合します。エウジェノールは歯髄の刺激を和らげ、知覚過敏のある患者に有効ですが、独特の強い匂いがあります。
硬化後に余分なセメントを除去するのは困難です。その際は「オレンジオイル」などの溶剤を用いると除去しやすくなります。
ガラスイオンセメント
ガラスイオンセメントはエナメル質や金属と高い接着性を示す汎用性の高いセメントです。金属冠の固定にも使用でき、フッ素を徐々に放出して再発虫歯を抑制します。
歯髄への刺激が少なく、やや湿った歯面にも容易に接着します。粘度が低いため、冠の装着がしやすいのが特徴です。冷たい乾燥したガラス板や紙パッド上で混合でき、カプセル形状で機械的にトリュエート(粉砕)し、ディスペンサーで直接供給する方法もあります。
